「IPOから疑え! 歪められた『価格発見機能』公募株求め個人殺到するが合理性欠いた株価変動も」週刊東洋経済2006.2.4

公開日: : 最終更新日:2012/02/10 書評(雑誌), 週刊東洋経済

週刊東洋経済という雑誌に対する評価は見極めがたい。ビジネス・スキャンダルの萌芽をしつこく追いかける姿勢は、なかなかの見物である。また、最後のほうに出てくる四季報の最新情報も参考になる。日経ビジネス、週刊ダイヤモンドと比較すると、企業業績とか、株価見通し、の系統の記事が多いのが特色といえるか。ただ、全体的な記事のトーンが暗いというか、左傾というか、そういうイメージがある。デザイン的にもパッとしない。特集のとり方も、ダイヤモンドを真似ているという話もある
IPO銘柄の株価の動きは至極不可解。IPO銘柄だから株価が上昇するという理由がわからない。初値がつかないとか、連日ストップ高とか。これに対して完全に合理的と思える説明がされているのを聞いたことがない。確かにここ数年はIPO銘柄の上場直後のパフォーマンスはよいようだ。しかし、その前の「失われた10年」的な時代はそんなことはなかったはずだ。さらに遡れば、80年代のバブルのころは、またIPO銘柄のパフォーマンスがよかった時期があるはずだ。詳しくは調べていないが、どうも株式市場全体の動向に、この「神話」が影響を受けているように思える
どうも合理的な理由なき熱狂であるらしい、としたところで、現に利益が取れる可能性がある以上はつべこべ言わずに参加するという考え方もあるかもしれない。その際には、ライブドアへの投資のように、いつかはこの手法が効かなくなるということを念頭に入れて、引き際を見極める、ということなのだろうか。いわゆる株式のバブルというものもこれに類する性質のものの気がする。いくら個人的に株価は十分に上昇したと思っていても、まだそこから買い上がってくる市場参加者がいる以上、その波には十分に乗る、という考え方だろう。いずれも引き際の見極めが難しいということだろうか
この記事の取材によると、公募時の値決めが正しくて、上場後の市場参加者の取引価格が間違っているとの主張のようだ。しかし、その反対の要素はまったくないといえるのだろうか。IPO神話のそれらしい一つの説明は、新規銘柄なので、これをアセットミックスに組み入れようとする投資家が公募で取得できず、上場後に市場で買い付けるから株価が上昇するのだ、というものがあった。なるほど、市場の価格形成機能を信頼するならばIPO銘柄は需要が通常より旺盛であるからこそ高騰するということか。しかし、それはそれで適正な価格であるといえないか。ガンホーなども流通している株式は極めて少ないというし、先日のジェイコム誤発注もこの点が遠因としてあるのではないか。流通させる単元数を少なく、しかし一単元の価格は高いということが、適切なのだろうか。例の株式100分割と本質は同じなのではないだろうか、とも思う
・新規公開株のブームが続いている。2004年、2005年に新規公開した企業334社のうち、上場時の初値が公募価格を下回った銘柄はわずか10社。「入手さえすれば初値売りで確実に儲かる」(中堅証券担当者)という「神話」の”御利益”にあずかろうと、公募株を求めて証券会社へ個人投資家の申し込みが殺到している
・そもそもIPOに過熱感が強まり、弊害が目立つのも、「絶対儲かる」という神話がさらなる個人投資家の資金を呼び込むから。このため一部市場関係者には公募価格の値決め方式を問題視する向きもある。ただ、実際に値決めを行う証券会社の引き受け担当者には「乖離の原因は公募価格よりもむしろ初値にある」(大和証券SMBC)といった声が多い。公募価格は価格発見能力の高い機関投資家の意見を参考とし、主幹事証券が発行企業と協議のうけ決定する。一方で初値は公募価格の数倍にも達するという銘柄が続出。ここ2年間では、3ヶ月間で約6割の銘柄が上場初日の終値から値を下げ、騰落率も市場全体から大きく見劣りする。「IPO市場こそがまさに妥当株価とは関係ない、デイトレーダーのマネーゲームの主戦場だ」(前述の中堅証券担当者)
・ある外国人ファンドマネジャーは「IPO銘柄といった材料だけで、合理的な理由もなく一様に株価が動くのは日本くらいだ」と指摘する
20060212235500

google adsense

関連記事

no image

仲宇佐ゆり「野村貿易 マクラーレン社のベビーカー(マーケティングの達人に会いたい第148回)」週刊東洋経済2006.10.14

20061101222200 マクラーレンのベビーカーを最近見るようになった。これを誇らしげに押す

記事を読む

no image

リチャード・カッツ「外資ファンドのように日本の株主も声を出せ(世界の視点)」週刊東洋経済2007.8.11-18

昔読んだ本に、日本の近代産業勃興期の電力会社や鉄道会社の買収などを扱ったものがあった。そういうことは

記事を読む

no image

「覆面座談会 有名大就職担当者がぶちまける「成功する就活とダメな就活」(特集 就職に強い大学ランキング)」週刊ダイヤモンド2011/12/10

20120113000424 就職活動の解禁の12月の初日に、リクナビなどのサイトがサーバダウンと

記事を読む

no image

梅咲恵司「新型軽自動車『アイ』が好発進 三菱自動車『復調』はホンモノか」週刊東洋経済2006.3.4

またまた、専門家がどの程度のものかに関する事例。外部コンサルタントよりの言うことは間違っていた

記事を読む

no image

海老沢泰久「マスターズが世界一美しい理由」週刊東洋経済2005.5.21

20050613210245 マスターズが私的であるため、その運営において妥協なく理想を追求してい

記事を読む

no image

井上裕「武藤信一氏 信用力を多面展開(編集長インタビュー)」日経ビジネス2006年5月15日号

確かに新宿伊勢丹は駅から遠い。今後は地下鉄の開業で駅前になるようだが、これまでその事実を必死に捉えて

記事を読む

no image

「平野幸久氏 空港も顧客満足追求(編集長インタビュー)」日経ビジネス2005年5月30日号

日経ビジネスは常に良質の記事を掲載しており外せない。デキる社会人は結構読んでいるとの実感。定期購読し

記事を読む

no image

鈴木真二「部品点数は自動車の100倍 究極の“すりあわせ”技術(特集/ボーイングvs.三菱vs.HONDA)」週刊東洋経済2008.9.20

20080926060000 執念を感じる一場面。アメリカの巨大企業が日本のラジオ体操をしていた

記事を読む

山と渓谷2014年01月号

20140412101940 山と溪谷 2014年1月号著者 : 山と渓谷社発売日 : 2013-

記事を読む

no image

山崎豪敏「森ビル・森社長に聞く 10年で変わらなければ東京は完全にダメになる」週刊東洋経済2008.4.5

20080428060000 現在の経済雑誌において、先人の業績に対する後続者からの批判として後藤

記事を読む

google adsense

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

google adsense

ドコモ「dアカウント」と「ポイント共有グループ」の整理

20181106112305 ドコモに3回線MNPの顛末(2

ワイモバイルにMNP

20181104115802 この記事を見て、小一時間考えてMN

ドコモに3回線MNPの顛末(2018/09)

20181029231515 ちょうど1カ月が経つので、思いつく

キャッシュレスまたはクレジットカード

20181023225403 政府がキャッシュレスを進めているみ

MediaPad M3 LTE プレミアムモデル購入して2か月

20170409130135 もう2か月が経ってしまったけど、記

→もっと見る

  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
  • あわせて読みたい
  • にほんブログ村 本ブログへ
PAGE TOP ↑