林康史監修「Q&Aで読み解く必勝!投資の心理学」週刊東洋経済2006.4.8

公開日: : 最終更新日:2012/02/11 書評(雑誌), 週刊東洋経済



この号の株投資の特集は面白くて一気に読んでしまった。その中で、この記事は最近流行の行動ファイナンスの特集。こういうのは大事なのだろうけど、最近は露出度が極めて高くなって食傷気味。監修者は投資関係の外国書籍の翻訳でお名前をよく拝見する。気になったことが3点ほどあったので、ここにまとめておく




Q2 15,000円のスーツと2,000円の手帳を買おうと思う。①同じ手帳が1,000円安く売られている店が10分歩けばあるという。行くか、行かないか。②同じスーツが1,000円安く売られている店が10分歩けばあるという。行くか、行かないか。正解 どちらも行く、もしくはどちらも行かない。


①も②も、言い換えれば、「あなたは、1,000円を節約するために10分の道のりを歩くかどうか」を聞いている。だから合理的な判断としては、金と時間をかけて歩くことのどちらを重視するにしても、同じ解答になるはず




うーん、これは、“山田真哉「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」光文社新書”からのインスピレーションだけど、節約を考えるときに、あまり細かいものまで気にしていることか効率が悪い、という議論があったように思う。例えば、スーツは高い買い物なので、価格調査を深く行うが、手帳のような小さいものは価格調査を行う甲斐がない場合が多いので、むしろパパッと言い値で買ってしまうほうがいいというもの。なるほど、と思った。この考え方をとる場合には、たまたま、その人の経済的な観点から10,000円を分水嶺とするのであれば、①は行くが②は行かない、という選択肢も正しくなるのではないか。ちょっと屁理屈に近いかも




Q5 買って下がった株は、ナンピン買いしたくなる。YES? NO? 正解 NO。


とにかく「今、その銘柄を持っていない」と仮定して、そのうえでなおその銘柄を買いたいと思うのなら、ナンピン買いしてよいかもしれない。しかし、「買う気にならない」のなら、その銘柄をもっていることは間違いだと自ら気づいているということだ。どうすべきかは明らか。損切るのが正解だ




これは、他の問題でも、2つの選択肢のうちの「どちらも同じ」を正解とするのが複数ある以上、ここでも「どちらも正しい」とか「場合による」という正解にすべきなのではないか。過去においても、そこから株価が下がった現在においても、いずれもその値段なら買いだと考えるのであれば、下がればさらに安値で仕込むことができるのだから良い。このことが解説では確かに書いてあるのだが、Q&Aだけではミスリーディングになっている。いや、これを問題にした趣旨はよくわかるが




Q7 50万円から100万円に上がったA株と200万円から100万円に下がったB株を持っている。今、100万円を必要とする。どっちを売る? 正解 どっちも同じ。




この特集の前提として、個人投資家を想定しているという。であれば、ここでは税の観点が非常に大きくなるのではないかと思う。個人は実現主義である。したがってA株を売却するのであれば100万円の売却損、B株であれば50万円の売却益が発生する。なるべく税額を抑える観点や、損失であればそれを来年に繰り延べるための確定申告のコストを考えなければならないように思った。法人であれば時価主義なので無益な議論だ


200604030000

google adsense

関連記事

no image

ヘンリー・ジェンキンス「世界とつながる子どもたちの大進化 経験の格差こそ問題(World Voice)」週刊ダイヤモンド2007/12/22

20071219060000 ・インターネットの普及に伴うデジタル世界の膨張によって、子どもも

記事を読む

no image

小島健志『プラチナバンド争奪戦で露呈した「電波オークション導入」の欺瞞(Close Up)』週刊ダイヤモンド2012/01/21

20120129234033 高級官僚には、利権で儲けるのでなく、俸給を極めて高額にすることによっ

記事を読む

no image

仲宇佐ゆり「野村貿易 マクラーレン社のベビーカー(マーケティングの達人に会いたい第148回)」週刊東洋経済2006.10.14

20061101222200 マクラーレンのベビーカーを最近見るようになった。これを誇らしげに押す

記事を読む

山と渓谷2013年11月号

20140413110737 山と溪谷2013年11月号著者 : 山と渓谷社発売日 : 2013-

記事を読む

no image

宮東治彦「新春特別対談 歴史に探る国と企業の盛衰の理」日経ビジネス2006年12月25日・2007年1月1日号

記事は少し古くなる。年初の日経ビジネスにおけるカルロス・ゴーン氏と塩野七生氏の対談より 年末年始に活

記事を読む

no image

佐々木紀彦ほか「落ちる中間層 ホワイトカラーの没落」週刊東洋経済2006.12.9

最近、痛快だったのがこの記事 大企業ほど、こういうところがある。抱え込んだ仕事が多いほど「なくては

記事を読む

no image

「サンリオ ハローキティ(特集 世界に誇る日本の商品100)」日経ビジネス2012/10/15

20130407233806 最近、キティが仕事を選ばずに働いていると聞く。株主として株価上昇が嬉

記事を読む

no image

中島募「政府がNHKに拉致問題の放送を命令 効果を期待、57%が賛成」日経ビジネス2006年11月27日号

20061130001000 当のNHKを初めとして、こういう「報道の自由」に触りそうな事件につい

記事を読む

no image

梅沢正邦「ミタルvs.王子製紙 2つのTOB 2つの経営者像」週刊東洋経済2006.11.18

気になった記事。M&A、ひいては経営全般に対する2人の経営者のスタンスの違い あきらめない。成功する

記事を読む

no image

ジョセフ・E・スティグリッツ「ミット・ロムニーの所得税問題にあるアメリカの“不公正”(スティグリッツ教授の真説・グローバル経済)」週刊ダイヤモンド2012/10/06

20121002223608 このシリーズは、いつもは斜め読みである。しかし今回は通読して

記事を読む

google adsense

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

google adsense

pay整理とKyashへの収束

20181209101111 ソフトバンク系と楽天系のポイントが

楽天ペイのアプリとローソン

20181208145713 Rakuten PayがPayPa

銀行の口座振替(引落し)設定の解除

20181207112040 とある事情で、とある業者への支払い

Pixel3の購入と現状の整理

20181120110248 Pixel初代とPixel2が日本

ドコモ「dアカウント」と「ポイント共有グループ」の整理

20181106112305 ドコモに3回線MNPの顛末(2

→もっと見る

  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
  • あわせて読みたい
  • にほんブログ村 本ブログへ
PAGE TOP ↑