岩倉正和「村上ファンド問題の真の意味(十字路)」日経平成18年5月31日夕刊

公開日: : 最終更新日:2012/10/02 書評(新聞)



20060603000100


筆者は確か、かの岩倉具視の子孫だと記憶している。まあ、お公家の家柄で明治維新の功労者の末裔が民間人とりわけ営利企業の権利主張の走狗となっているとは隔世の感がある。本当に薩長の政府は終わったと考えていいのだろうか。とは、ちょっと言いすぎかな


結構タイムリーになってしまったが、村上ファンドに対する世間の評価の一つを示す記事を取り上げる。至極真っ当で首肯できる意見であり、こういうのがこの国の有力なビジネス弁護士だという事実に少し安心する




・村上ファンド問題について、いまだ本質を見失った議論がされており一言したい




これは、同じ「十字路」コーナーのこれのことだったりして。“国定浩一「マネードラマの結末を懸念(十字路)」日経平成18年5月23日夕刊”村上ファンドは結局、今日ここまでマスコミで騒ぐことが許されているとすると、逮捕、立件まで道筋は見えた立派な被疑者ということなんでしょうな。バックにオリックス創業者がいるから挙げられないという話もあったけど、どうなったんだろう。でも、これで多くの人が溜飲を下げるだろうし、それで既得権者が押し付けることの出来るいわゆる勤労の美徳もその寿命を延ばしたということか




・筆者がアクティビスト・ファンド等が狙う標的企業に助言する機会の多いことは隠せないが、公平・中立に述べたい




と言いつつ、逆に、世間的にはファンドを擁護する側に見える論説が以下に続く




・取得した会社の株式を結局は売却してもうけるのは、要するにサヤ取りであり、各人の価値観次第だが、金もうけがすべてのファンドマネージャーとしては当然のことで、それ自体違法でもない。私企業は皆、利益を追求するのであり、ぬるま湯の株式市場で人より先においしい投資をしただけのことだ。その目的のため法律上の株主権を行使するのも不当ではない。それが嫌なら、経営陣は企業価値を高め株価が適切に評価される努力をすべきであった




そう。村上ファンド銘柄の経営者は笑われている。恥ずかしいと思わなくてはいけない。今日、これだけ株価が下がってもマスコミを初めとするダメ業界の株は個人的にはまだまだお買い得とは思えない




・最後に本論からは離れるが、「格差社会」論について。すべてをお金や経済的尺度で測るだけの世の中は悲しい




なかなか、いい結語である。読む者に善解させ、それを筆者の主張と混同させる巧みさ。そう、格差の定義すら曖昧なくせに、嫉妬と羨望と卑屈と自惚れの入り混じる論点なので、皆が喜んで話題に取り上げるのが、これなのだろう。最近の大機小機でも書いてあったが、格差社会をバカが議論すると社会主義体制を取らんとしそうな勢い。ここでは、金で測れない価値というものへ思いを致させる


直ちに思い出したのは、「例えば、子供など、大切で愛おしくて価値あるものほど、実はコストがかからずに手に入るものなのだ」という言葉だ。何の本だったけなあ、思い出せない。子供は維持費が掛かるので国がバラマキを、なんて最近は議論しているけど、どのレベルの話をしてんるんですかってんだ





google adsense

関連記事

no image

「郵政法案、成立の流れ加速―鴻池・真鍋氏賛成の意向、与党過半数の場合」日経平成17年9月10日朝刊

だいぶ古い記事になってしまったが、気になっているもの 鴻池という参院議員が、今回の衆院総選挙の投票

記事を読む

no image

石巻「投資家保護と証券市場(大機小機)」日経2012/3/23

20120331001414 最近、大機小機と経済教室が妙に気になるんだよな。政治はもとよりマーケ

記事を読む

no image

福井秀夫「厳しい解雇規制見直せ(経済教室)」日経平成18年4月28日朝刊

経済教室は、余裕があればぜひ読んだほうがいいが、果たして全部読んでいる人がどれくらいいるのだろうか。

記事を読む

no image

「会社とは」取材班「買収は『漢方薬』で防ぐ(会社とは何か)」日経平成17年6月24日朝刊

この特集記事は良くできていて興味深く読んでいる。この中に、少し古いだがどうしても忘れられない記事があ

記事を読む

no image

前田昌孝「なぜか人気の『毎月分配』―合理的経済人はどこに(迷解迷答現代けいざい学)」日経平成17年8月17日夕刊

先日に読んだ本は為替に関する効率的な投資を行うためのものだった。ここで、銀行の提供する外貨預金がいか

記事を読む

no image

小堀宗慶「感情抑えきれず慟哭(私の履歴書)」日経平成18年8月30日朝刊

日経朝刊の「私の履歴書」で、これだけ心を揺さぶられたものは、終ぞなかった。肩書きと名前だけ見ると多分

記事を読む

no image

前田裕之「人間発見 ガリバーインターナショナル会長 羽鳥兼市さん 車の流通改革へ走る(4)」日本経済新聞2012/09/13夕刊

20120917011439 結局、人間の行動の原因は心持ちひとつなんだと思う事例 人が何と言お

記事を読む

no image

「日本電産社長永守重信(5)我流の書(こころの玉手箱)」日経平成18年2月17日夕刊

日経夕刊の紙面が新しくなったという。が、あんまりパッとしない。デザインな改善はある。でも、内容は大し

記事を読む

no image

財政取材班「民間流、事業は縮まない(財政 経済が問う)」日経平成18年6月14日朝刊

日経新聞って、こういう”官の無駄遣い”的な記事はよく見るが、今回のは圧巻 こういう土建バラマキなもの

記事を読む

no image

「女性がよく飲むチルドコーヒー(何でもランキング)」日経平成18年1月14日NIKKEIプラス1

20060114205700 女性はチルドコーヒーを好み、缶コーヒーはあまり好まない、というのが面

記事を読む

google adsense

Comment

  1. 匿名 より:

    「取得した会社の株式を結局は売却してもうけるのは、要するにサヤ取りであり、各人の価値観次第だ」だそうだが、これは絶対に必要な行為である。「サヤ取り」という安っぽい表現が適切かどうかは別として、「サヤ取り」が成り立つのは、株価が本来あるべき価値よりも低いレベルに放置されているからに他ならない。逆に言えば、「サヤ取り」はあるべき価値よりも低いレベルに放置されている株の価値を「正す」行為であり、そういう行為が行われることにより、マーケットの価格発見機能が発揮されることになる。「サヤ」を取った投資家は、マーケットの価格発見機能を発揮させたことに対するご褒美を貰ったということになる。
    もっと言えば、「サヤ取り」をする人間がいなければ、まともなマーケットではないとすら言えるのである。大抵の日本人の頭は、まともなマーケットが理解できていないのであろう。哀しい話だ。これで国境を越えた大競争時代に勝てるはずはないと言える。

  2. Max より:

    コメントありがとうございます。完全に同意です。
    http://hiog.seesaa.net/article/17128932.html
    ジェイコム誤発注について、ここで言っていることは全く同じ意味で書きました。

匿名 にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

google adsense

pay整理とKyashへの収束

20181209101111 ソフトバンク系と楽天系のポイントが

楽天ペイのアプリとローソン

20181208145713 Rakuten PayがPayPa

銀行の口座振替(引落し)設定の解除

20181207112040 とある事情で、とある業者への支払い

Pixel3の購入と現状の整理

20181120110248 Pixel初代とPixel2が日本

ドコモ「dアカウント」と「ポイント共有グループ」の整理

20181106112305 ドコモに3回線MNPの顛末(2

→もっと見る

  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
  • あわせて読みたい
  • にほんブログ村 本ブログへ
PAGE TOP ↑