前田和彦「プライベートバンクが富裕層に普及しない理由」週刊ダイヤモンド2006/10/14
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日本の金融機関の収益構造に関する鋭い指摘がある。顧客にとっては、身の丈にあったこととをしろということか。特に、5億円くらいまでの資産については本業に注ぎ込め、というアドバイスが面白い
・日本の金融機関がやろうとしているPBが、はたして本当にPBといえるのか疑問を感じる。預入金額1億円からのPB口座開設で担当者のコストをカバーするためには投資信託や変額年金保険など手数料の高い商品を売らざるをえない
・豪華な応接室で接客すればPBと思い込んでいる金融機関もある。PBの基本は秘密を守ることであり、廊下やエレベーターでほかの顧客とすれ違わないようにするというような肝心なところが抜け落ちている
・資産運用だけがPBではない。資産運用に限っても、海外のPBにくらべて日本は当局の規制が強すぎ、購入できる金融商品は非常に限られる
・税制は不便だし、報告事項もいろいろあって面倒だが、まともな投資をしたいと、海外PBに口座を開設する動きが強まっている
・年収3,000万円以上の人や金融資産1億円以上の人を「新富裕層」と呼ぶようだが、こういう方はPB口座を開設するのでなく、それを本業に再投資して資金を増やすほうが確実。外資系銀行の多くでPBの口座開設が10億円からとされているのは、まじめに分散投資しようとすれば、最低でもそのくらいは必要だから。また、10億円で管理報酬を1%もらえれば年間で1,000万円となり、商品を売りつけなくても担当者を付けるコストはカバーできるから
・少なくとも5億円くらいまでは資金運用でなく本業への投資で増やす発想に転換してほしい
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