デイル・ドーテン「笑って仕事をしてますか?」小学館プロダクション

公開日: : 最終更新日:2011/09/03 書評(書籍)

この本も、買ってから2年くらい放っておいたものだ。なぜ今まで読まなかったのかと後悔しきり。しかも当時、間違えて2冊も買っていたのだった。もう1冊はどこに行ったのか?
「気」とか「禅」とか「サムライ」とか「ドラゴン」とか、そういう東洋趣味的な味付けがなされているのはちょっとウッとくる。それを置いておくとしても、なかなか唸らせる内容だった
自分の欠点は直せない、と考えるようにすることで、それに冷静に対処し、よい結果を導き出すことができる。このような事実を事実として踏まえた上で、考え方やアプローチをちょっと変えるだけで結果がずいぶんと違ってくるということが、この本のサブテーマのように感じる
企業に身を置く者として、この本のとおりに自由に行動するのはなかなか困難かもしれない。特に若手は。でも、こういうマインドはいつも持っているだけで結果はやはりだいぶ違うものになりそうだ
素人のほうがむしろ問題解決能力があったり。圧巻は従業員を解雇するときの考え方
久々に、他者に是非読んでもらいたいような本に遭遇したと思う

p20.人々が”より良い方法”を探るという課題に魅力を覚えるようになると、仕事は骨の折れるつまらないものではなくなり、ふしぎなことが起こりはじめる。そういうときには、顧客と従業員と納入業者が一体となって、互いに助け合うようになるのである
p26.”相手の役に立つ”という言葉からは、従順であることを連想する人もいるだろう。しかしながら、優秀な人々に関していえば、役に立つというのは優しくあるばかりではない。それはもっと強固なものだ―”決然とした”という古い言葉が心に浮かんでくるほどに。また、手助けをすることには謙虚さが必要だが、優秀な人々というのは従順にも慎ましやかにも見えない。実際、彼らは戦士のようだ。それも、大いに笑う戦士のようなのだ
p35.成功の歴史は、”人の役に立つこと”を広げていく物語である
p36.優れた企業をリストに書き出してみてほしい。すると、そうした企業は、他者と同じコトをおなじやり方でしていないことがわかるだろう。もしそんなことをしたいたら、どうしてすばらしい企業だなどと思えるだろう? 私たちが心を奪われるのは、”ふつう”のものではなく、”特別な”ものだ。つまり、私自身の仕事のモットーにもなっていることだが、「他と違うものがより良いものだとはかぎらないが、より良いものは必ず他と違っている」のである。他と違わないのに、優れた組織になることはできない。違うところを持たずに、すばらしいものになどなれるはずがないのである
p42.創造性を妨げる大きな原因は、多くの人が自分を創造的であると思うことができず、そのため行動を起こす前にすでにあきらめてしまっているという点だ。その一方で、多くの人が自分のことを凡人であるとも全く思っていない。私の経験では、人々に創造的になってもらうより”凡人であることをやめてもらう”ほうが、はるかに無理がないし、良いことがいろいろある。もっとも、結果はいずれでも同じである。自分自身や周囲の人に、”凡人であることをやめよう”と思わせることができたら、すぐさま相応の空気が生まれるだろう
p46.この交差点を通るたびに、警官がどんな気持ちになるか、想像してみてほしい。思うに、彼は親戚や訪ねてきた人たちを交差点に連れていって、「ここはぼくの交差点なんだ」などと言いながら指でさし示し、町でいちばん高かった事故率がいちばん低くなった話をするのではないだろうか
p58.私たちは、自己鍛錬によって性格上の特性を制御できるようになるべきだと思って、自分に対してあれこれ思う。しかし結局のところ、そうした特性の多くは、遺伝的なものなのだ
p59.私は、「優れた上司というのは、部下の能力を高めることにはほとんど時間を割かず、ずば抜けて有能な人を見つけて口説くことに多大な努力を傾ける」ということを発見した。つまり、最良の管理とは、管理する必要のない部下を見つけることなのである。部下にとっての親になることは、不毛で恐ろしく疲れるものだ。人はきわめて”変化しにくいもの”であるという考えを受け入れるようになると、人を変えようとするのをやめて、その人の能力や個性といった”道具”の正しい使い方を見つけようとするようになるだろう
p65.彼らは、自分自身のことではなく、内気さゆえの行動が横柄だとか冷淡だと誤解されていることに、意識を向けるようになった。外向的であるふりをしたり内気さという欠点のために自分を憎んだりするのではなく、内気であることを周囲に知らせた。そしてそのために、ほんものの人間関係を築けるようになった
p70.「彼は常に学んでいました。そして、自分が絶えず学ぼうとするために、周囲の人間に考えさせていました」これはリーダーたちの顕著な特徴だ。彼らは”学ぶ人”なのである。学ぶ者が他者を導くというのは、奇妙に思えるかもしれない。しかし実は、質問を発する者は、会話をリードするのである
p73.変化が起きるときは常に、”ノートを手に持って行くこと”。手ぶらで行くというのは、あなたには、残す価値のあることを何も聞く気がないことを意味している。話し合いの場へ行って、最高の結果が生まれるよう、ともに努力するより、一方的に変化を宣言するということだ。手ぶらで行く、それは、心を閉じているということなのである
p75.最近までガイダント・コーポレーションのグループ・チェアマンを務めていたジンジャー・グラハムは言う。「会社というのは、洞窟の壁画みたいなものです。話が人の心をゆさぶれば、すばらしい会社ができるのです」
p77.試みに失敗はない。それは、試しにやってみることがすべて、計画どおりにうまくいく、ということではない。その点は言うまでもない。しかし、試しにやってみるときには、スクラッチくじを削るときのような、ドキドキする機会を自分に与えることになる。また、良くなるにせよ悪くなるにせよ、変化することへの抵抗感を抱かずにもすむ
p84.一点、言い添えておこう。初めてジェンゼールがスタッフたちに夢を語るようにと言ったとき、話をしたのはほんの数人だけだった。二度目は、少し増えた。それで十分である。最終的にボウルいっぱいのポップコーンを作るのに、コーンが一度に全部はじける必要はないのだから
p88.この考えにも追いついてほしい。美は人の役に立つことから生まれるのだ、という考えにも
p91.高い評価を受けるリーダーというのは、いうなれば、庶民の肩に剣で触れて、「おまえたちは騎士だ」と宣言する王のようなもの。しかし、いったい何人のリーダーがそうしたことをしているだろう。”熱く率直な態度”で接するリーダーが、どれくらいいるだろう
p97.ある学生は、個性が向上する瞬間についてこんな話をしている。「ある先生に、『ポール、きみは誠実な人だね』と言われたことがあります。そのときからずっと、ぼくは不誠実になることができません」
p99.この老いた将軍はきっと、ミーティングへ向かうまでの間に、”笑う戦士”へと変化し、「今日は誰の役に立てるだろう」とみずからに問いかけたのだろう。その答えを見つけて、目をキラキラさせている姿が、目に浮かぶようだ。「そうだ、今日はバーバラ・トレスの役に立てるかもしれない。彼女の頭に血を上らせて、自分がどんなにすばらしくなれるか、気づいてもらうんだ」
p120.優秀な人材を、少額の報酬で雇うことはできない。多額の報酬、でなければ大きなチャンス、そのどちらかを提供する必要がある。しかし優れた人材は、多額の報酬が支払われることはすでに知っているため、決め手は報酬以外のものということになる。あなたは彼らに、金持ちになるチャンスは与えられないかもしれないが、人生を豊かにする機会は提供できる。それは、貢献度の高いことをする機会かもしれないし、エネルギーや役に立つことや喜びに満ちた場所で働く機会かもしれない。あるいは、もっと具体的なこと、たとえばフレックスタイム制や在宅勤務が導入されているといったことかもしれない(驚くべきことだが、優れた人材のうち実に多くの人が、子供が学校から帰ったときに家にいてやれるとか、リトルリーグの試合を見るために休みがとれるとか、小説が書ける、旅行する時間が持てる、競輪に出られる、といった機会を得るために、仕事を変えている)
p141.上司は、苛立ちを募らせ、「あいつらは負け犬だ」などと言う必要はない。こうつぶやくだけでいいのだ。「むろん彼らも、自分に合った職場を見つけなければならない。ただ、それはきっと、どこかほかの場所なんだ」優れた上司が部下を無能だなどと決めつけたりしないのは、職場を替えてみごとな活躍をするようになった元部下を、大勢見てきたからである
p145.リーダーシップとは部下に未来を見せることであり、ときには出口を示さなければならない場合もある。しかし、解雇されるほとんどすべての部下が、こう言うようになるだろう。「あれは、今までに起きた出来事の中でいちばんいいことだった」。そのため、解雇されたときは浮氷の上に取り残されたように感じられるかもしれないが、実際には、後になれば満足してふり返ることのできる人生の、最初の一歩を踏み出すことになるのである
p157.一方、「この方法が顧客の役に立つかどうか、ご意見をいただきたいのですが」と言った場合は、”われわれの”プランについての議論に参加してくれるよう、上司に頼むことになる。前に取り上げた、まるで魔法にかけるように部下にベストを尽くさせる話から思い出してもらえると思うが、好奇心や学ぶ気持ちに訴えかけるアプローチは、起きてもふしぎのない反発をスッと消し去るのである
p164.そこまで相手に合わせるなんて、ゲーリーにはプライドってものがないんじゃないかと、声を出して私が言うと、クレンズは笑って答えた。「彼は、私が知っているどんな建築家より、自分の才能に自信を持っていますよ。彼は自分が天才であることを知っています。けれど、もっと多くの情報を得てやり直したら、さらにいいものを生み出せることも知っているんです」あなたも天才であらんことを。また、そうである以上は、批判を前向きに受け入れる天才であってもらいたいものである
p171.実は、価格というのは、単にものの値段を示しているのではない。それは”心”だ。価格は人間関係の始まりなのである。もし、売るためにと言って価格を下げるなら、あなたは、利益だけでなく、顧客からの敬意をも手放すことになる。結局のところ、その”定価”はいわば嘘だということを、証明してしまったのだから。そう、あなたはみずから証明したのだ。顧客はあなたに目を光らせて、その行動を見はる必要があるのだということを。あなたは信用のおけない人だということを。言いかえるなら、価格に関して譲歩したとき、あなたはすでに顧客との関係を絶ちはじめているのである
p189.学ぶことに重点がおかれていることに注目してほしい。ラーンは、あらゆる層の部下に会って、彼らと成功との間に何が立ちはだかっているのか尋ねていた。また、ドルーカーが述べた言葉も注目に値する。「はっきりそうと決めていたわけではなく、できるだけたくさんのことを学び、それによってどこに導かれるか、見きわめたいと思ったんです」「どこに導かれるか、見きわめたいと思った」。優れた成功者は探険家でもあるのだ。彼らは知識をただ受け取るのではなく、むしろ、あらゆる方向から学ぶことによって、関連のあるものが広がっていくのを見る

20061211010800

笑って仕事をしてますか?

posted with 簡単リンクくん at 2006.12.11
デイル・ドーテン著 / 野津 智子訳
小学館プロダクション (2004.9)
通常2-3日以内に発送します。

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