小川明「表現の達人・説得の達人」PHP文庫

公開日: : 最終更新日:2012/02/10 書評(書籍), 文章術/レトリック



なぜこの本を読もうと思ったのか思い出せない


10年以上前に文庫になっている。しかし、湾岸戦争後のことの予測など、気味の悪いようにあたっているように見える。過去を調査して整理すれば、ちょっと先のことの予測はできるそうだ。そうらしいと感じさせる記述が随所に見られる


でも、誤植が多いなあ


著者が自信を持って「この本には意味が詰まっている」と言っていた。一回通読してもメモはそれほどなかったが、二回目の通読でメモすべき点が増えた。こういうことは珍しい。普通は二回目に読むとチェックを消すという動作が多いのに


実は、文章術はそれほどではないと思うのだ。構成をもっとよくできるように思う。外見的にダラダラ感を感じるのは内容が良いと思うだけに残念だ




p13.たとえば社長のお供で車で一緒に出かけた場合などにこうした例は多いのだが、私はそのような質問を受けた場合は「どういう意味ですか」といって逆にこちらから質問をぶつけることにしている。つまり相手がどんなつもりで私の意見をききたがっているのかによって、こちらの対応が違ってくるからである


p28.とにもかくにも自分の意見を持つ頃がすべての始まりであることを強調したい


P31.「時代が親だ」といったのはかの勝海舟である。いつの世も、ある時代に生きる人々はその時代に固有の気分の中にいるということを彼はいっているのだと思う




これ、いい言葉だなあ




p56.「情」と「報」を区別する意味は、「情」がきわめて固有の人間の価値観にもとづくダイナミックなものであるのに対して、「報」が過去の事実という静態的なものに留まるケースが多いというのが第一。そして、「情」が量より質を重んじるのに対して、「報」は何といっても量とその受けとられる速さに生命があるということが第二。第三に、「情」が定性的なのに対し「報」は定量的である。この区別の最終的意味は、「報」は誰でも知ることができるが、ただそれを知っているだけではそれだけなのに対して、「情」は次のアクションへのトリガーとして働くということである


p62.表現に達人・説得の達人をあなたが目指すなら、まず自分の意見を持つことの大切さを知り、時流がいかがなものであるかを把握して、最後に「報」をうまく使って「情」を活かせというのがこの章で述べてきたことだ。ビジネス生活は長く、拙速なものにロクなものはないのだから、この辺のところはしっかりと押さえておいていただきたい


p66.弘法筆を選ばずなどといわれるが、そんなことはないのであって、達人ほど結構道具にはうるさいものである


p78.最初から質が伴うわけなぞないのであって、量のなかから質が残っていくというのが一般的な話である。小食な人間にグルメはいないものである


p79.会社の就職試験の面接で、「君は最近、どんな雑誌を読んでいますか?」ときくと、多くの人が「一応、日経トレンディとダイムはおさえてあります」と答える。コンパクトに整理された情報を手軽に仕入れておくという要領のよさをいったつもりなのであろうが、他の質問とあわせての当方の結論は、「こいつ自分で何も考えていない奴だ」ということでお引き取り願うことになる


p91.「申さば聞こえず」という諺がある


p92.ちなみに諺には正反対のものも多く、「八百屋に看板なし」というのがある




「申さば聞こえず」、これもいい言葉だ。先日のメモとも一緒(“木崎伸也「反町康治「脱サラ」監督の正念場」週刊東洋経済2007.4.14”




p93.私は一冊の本からひとつの法則が見出せれば、それで満足することにしている。本から吸収すべきは「報」ではなく「情」なのである。つまり、その人のものの見方、考え方を学ぶものなのである


p106.有名人を人脈に加えたかったら、また彼の情報の質をとことん自分のものにしたかったら、自分自身がその有名人と同じ程度の情報の質を持つ人間にならなければ話にならないのである。そこに落差があるとすれば、その差は手っとり早く金銭で埋めるしか方法はない。情報には金銭価値があるからだ


p125.過去を知ることによって半歩先ぐらいは読めてくるというものである。過去からの連続の中から先を推論するということが他ならない必然の洞察ということなのである


p160.私は多くの場合、結論からまず入ることにしている


p173.極端にいえば、全人格の投影がコミュニケーションであるとすらいえる。技法以前の問題が山ほどあると見てよい。だから就職における面接試験が重要視されているのであって、私なども過去何十年毎年就職試験シーズンになると面接官をやっていて思うのは、それこそドアを開けて席に学生が座った時点で内心採否の見当がついてしまう。そして二言三言の短いやりとりで自分の見当が正鵠を射ていたことに気づく。できる学生というのは顔つき、口のきき方、態度ものごし、服装もさることながら、こちらの質問に正しく簡潔に答を返してくれるものである。自分の意見がよく整理されていてムダがないと同時にどこか愛嬌がある学生というのがよい。厭味のない自信が伝わってくると文句なしということになるのだが、こういう学生がなんと少ないことか




これ、前に読んだ本でも同じことが言われていた(“山田修「タフ・ネゴシエーターの人を見抜く技術」講談社”




p175.自分の意見の発表のときの基本の第一はエゴを出さないことである。ここでいいカッコを見せようとか、この場で認めて貰って出世のパスポートを得ようといったような俗念をすてることである。第二は3ワード、10分でプレゼンできるようにあらかじめ練習しておくことだ。聞くところによるとサントリーの佐治会長やセゾンの堤会長は、このような席でプレゼンテーターにあらかじめ3ワード、10分でやるように指示しているとのことだ。トップとしてそれで判るという自信があるためと考えられる。基本の第三は「この件に関しては自分の方が情報をたくさん持っている。相手はその件に関して情報がないからわざわざこの場で意見を聞こうとしているのだ」とこう考えて自分の情報優位性に絶対の自信を持つことである


p182.話にメリハリをつけて、セリフに応じて喜怒哀楽の感情を表現。一本調子にならないように気をつけて、相手があきらかにこちらの話に乗ってきたことが判ったら、意識的に声を小さくしていく。相手が退屈そうにしていたら、ちょっと間をおいて軽い冗談を入れてみる。よくある失敗談も共感を得るひとつの手であるし、地方では必ずご当地の話題をあらかじめ、ひとつふたつ仕入れておいて「よく知っていますよ」というところを見せるなど芸を細かくするとよい。われわれはプロではないから、そこまではと思うが基本は同じであろう。要はサービス精神につきるのではないか




20070421233000


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