戸田山和久「論文の教室 レポートから卒論まで」NHKブックス

公開日: : 最終更新日:2012/01/28 書評(書籍)



文章の書き方などの本を読む。結構好きなほうだ。しかし、論じている著者の文章そのもののレベルが悪いものや、ただ自分の感覚にしたがってエッセイ風に書き散らしたものが多い。たとえば「日本語通の…」などはこの類だ。こんなものに付き合っているほど時間はない


その中で、この本は内容がしっかりしている上に、読んでいて面白い。著者の衒学のようなところはあるが、ふざけ度合いが自分に合っているのか嫌みにならない。さすがに奥付の著者の写真は少しイヤだ。このシリーズは著者の顔写真を掲載するのがしきたりなのかもしれないが、こういう顔の人が向こうから歩いてきたら、どう躱すかにとっさに脳みそをフル回転すべきだという気がする。そこまで自分にとって外見は重要なのだったりする


さすが論文の書き方を説明するだけあって、参考文献が充実している。ここから多くの本に読み進めていけそうだ。メモが多すぎて自宅でコピーしてしまった


ということで、以下にメモしたのはほんの一握りなのだった




p90.論文<アブストラクト><本体①問題提起②主張③論証><まとめ><注・参照文献>


p161.帰納的論証に対する反論として、たった一つぐらいの例外を見つけてきただけでは、揚げ足取りにしかならない。というわけで多少の例外があっても、帰納的論証の説得力ががくんと落ちるということはないのだが、例外はあくまでも「少数の特殊ケース」でなくてはダメだ。似たような例外をサンプル集団の定型的なメンバーの中に、しかもたくさん指摘することができれば、有効な反論になる


p163.誘拐って意味のabductionと同じ綴り。演繹的論証はdeduction、帰納的論証はinductionっていう。アメリカの論理学者のチャールズ・パースって人が命名したんだ。そして、アブダクションのことを、ギルバート・ハーマンっていう哲学者は「最良の説明への推論」って呼んだ


p180.種はどこをとっても均質に見えるかもしれないけれど、種皮、子葉、幼根などなど、ちゃんとした構造が備わっている。構造のないところからしっかりとした構造をもったものはなかなか生まれにくいものなのだ


p187.トピック・センテンスはパラグラフの先頭に置くのがパラグラフ・ライティングの基本である


p206.読みやすさ・わかりやすさというものは、あらゆる文章がめざすべき絶対的な価値ではない


p214.ライナーノーツってのは悪文の宝庫だからなあ。だからオレ、自分の金がこんな文章書くヤツの原稿料になるのイヤだから、輸入盤しか買わないことにしてんの


p228.同じ文末を持った文が連続すると、どういうわけだか読み手はたいへんイライラするからである。この手の「である攻撃」「だ攻撃」は、キミたち学生の文章の大きな特徴である


p267.語はどんな語とつながってもよいわけではなく、つながる相手を選ぶ傾向がある。たとえば英語では、手術(operation)を「する」と言いたいとき、doでもexecuteでもrunでもなく、performを使わなければならない。こうした現象をコロケーションという




200711280600


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