粂和彦「時間の分子生物学」講談社現代新書②

公開日: : 最終更新日:2012/02/28 書評(書籍)



粂和彦「時間の分子生物学」講談社現代新書①


の続き


この本の主目的は睡眠について知ることであった。それが書かれている後半部分のほうが面白いものの、内容が薄いのが少し残念




p125.不眠症のハエは、普通のハエの約半分くらいの寿命しかありません。普通のショウジョウバエは25度の条件では、3~4ヶ月生きるのですが、「不眠」は2ヶ月程度で全滅してしまいます。ただし、活動する量は普通のハエの3~5倍ですから、寿命が半分でも、一生の間に歩き回る回数の総計は、普通のハエの2倍くらいにはなっているようです。また、加齢とともに疲れて活動度が減っているわけではないようで、死ぬ直前までまったく休まず、ぱたっと死んでしまうことが多いようです




人間に直接当てはめられるかはともかくとして、極めて示唆的だ。自分としてはどちらを選ぶか。ゆっくりと長く生きたほうがいいのではないかと思う気もする。そうは言ってもこの世にいる時間が短いのでは、その間の人類の進歩をより長く感じることができるはずだから




p132.現在のところ、本当に睡眠を調節するホルモンや生理的な睡眠の調節機構は、まだ解明されていません。つまり、眠くなったときには脳のどこの場所にどんな物質が増えて、その結果、脳のここがこうなるから眠いのだ、というクリアカットな説明はまだできていないのです


p135.1回のノンレム睡眠-レム睡眠サイクル(これを睡眠周期とか睡眠単位と呼びます)が90分程度で、一晩のうちにこれを4~5回繰り返すのが平均的です。しかし、最初の睡眠周期と最後の睡眠周期は質的に異なっていて、段階3や4の深いノンレム睡眠が認められるのは最初のほうで、後半になるとノンレム睡眠は浅くなり、レム睡眠の時間が伸びてきます。睡眠周期を何回か続けて、8時間というような長い睡眠を連続して取るのは、人間の特徴の一つです


p136.目をつぶるだけでα波という規則正しい波が現れます




これは驚き




p138.現在のところ、睡眠は「脳の休息」の意味がもっとも大きいだろうと考えられています。実際、脳の代謝量だけを考えると、睡眠中は覚醒時よりかなり少なくなっています。また、まぶたを閉じたりして、外部からの情報を遮断するのも、脳を休めるためには役立ちそうです。海の中に棲むイルカの場合は、眠ると溺れてしまうために、脳の片側ずつ器用に眠ることができますが、眠っている側の目は閉じているようです


p139.「断眠実験」の結果、ノンレム睡眠とレム睡眠の両方を完全に取り去ると、多くの動物(人間も多分そのようです)が、1週間から長くても数週間以内に死亡します。そのため、睡眠は生存に必須と考えられています。このとき、動物は極度の疲労状態になり、衰弱して多臓器の不全で死亡しますが、断眠で直接的にもっとも障害を受けるのは、免疫系だろうと考えられています。これは、短期間の断眠実験のあとにさまざまな体の機能を調べてみると、免疫系という体を守る機能だけが、特に障害されているという研究があるからです


p147.老化の最初の兆候として、物忘れしやすくなったとか、肌のつやがなくなった、白髪が出てきたなどいろいろなことが挙げられますが、睡眠研究者の間では、朝、以前よりもすっきり目が覚めるようになって、起きるのが辛くなくなったというのが、もっとも早く認められる老化の兆候だとよく言われます


p150.産業医学総合研究所の高橋正也氏らの研究によると、午睡を上手に取ることで、午後の仕事の効率を上げて気持ちよく働くことができるようです。大切なのは長時間眠らないことで、15分から長くても30分までが良いそうです。また、午睡からすっきり目覚めるためにいくつかの工夫が推薦されています。コーヒーなどを飲むのなら、午睡する前のほうが良いというのもちょっと気がつきにくい工夫です。目を覚ましてから飲むと、吸収されて効果が出るまでに時間がかかりますが、昼寝をする直前に飲めば、ちょうど効いてきた頃に目が覚めるからです


p152.研究によると、脳の中で活動している神経細胞の数そのものは、覚醒時よりもレム睡眠時のほうがかえって多いくらいだそうです。しかし、神経細胞同士のつながり(連係)は弱まっていて、それぞれが不規則に活動している状態だといいます


p157.誰でも毎晩、少なくとも十数個、多ければ100個以上の夢を見ているようです。普通、夢は最後の1個しか覚えていないのですが、訓練することにより、もっとたくさん覚えていたり、記録したりできるようにもなるそうです。夢を見たときに、夢の中の自分が「あ、これは夢だ」と気がつく訓練をして、目を覚ましてその夢の内容を記録するわけです


p175.生物時計は、どんなに強い光で上手に調節しても、最大で1日4時間くらいしか進めたり遅らせたりすることができません。普通の生活をしながらの場合は、せいぜい1~2時間です。そのため、12時間の時差の場所に移動すると、時差ぼけを乗り切るのに、最低でも1週間近くかかるわけです




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