佐藤優「日本の組織で育ちにくい高度な専門的能力(知の技法 出世の作法)」週刊東洋経済2008.2.9
英語が話せても話せなくてもやっかいなのが日本人社会人の現状。話せるのに話せない振りをするというズルが最もいいということになる
英語が話せることでそのまま通訳に使われるというのは勘弁してほしい。この記事のコンテクストも同じだ。翻訳はその専門家に任せるべき。そうでないと、英語ができるがゆえに雑用をやらされる
しかし、英語がボトルネックとなって仕事が全然進まないのだから、英語ができない人間が頭を下げて英語ができる人にお願いする。最後の1マイルを握られているのだから、できない人間からは特権的に映り、できる人間は英語しかできないのに社会にのさばることになる。気がつけば、そのような語学の仕事以外までは手が回らずに本当に社内通訳と化してしまう
英語ができないと称する人間も、少しは自分の言葉で語ってほしいと思う。そうは言っても義務教育と高等教育でそれなりのコストをかけて勉強しているのだから、どれだけ貧弱な英語であっても使ってほしい。それだけでどれだけ仕事がスムーズに進むことか。英語を知らないということはアウトプットができないということに他ならない
・外交官の語学力低下には、別の理由も存在する。「語学が上手だ」という評判が立つと、通訳の仕事を持ち込まれる。通訳の仕事は緊張するし、誤訳も完全に避けられない……。こうした事情から、語学力向上に及び腰になる。官僚の職業的良心はあくまで「出世」である。外務省の人事評価は減点主義であるため、誤訳の責任が問われれば、将来の出世に悪影響を与えてしまうのだ。また、通訳をすると記録の作成までやらされ、自分の業務が滞ってしまう。それよりも「語学はそこそこできる」レベルにしておいたほうが、出世のためには無難である。こうした悪循環で、外務省の語学能力はかつてなく低下しているのだ
20080212060000
google adsense
関連記事
-
-
佐藤優「人たらしの流儀」PHP
20111128214755 対談の形式をとっている。明示されてはいないが、相手は編集者の小峰隆生
-
-
井上裕「三井物産社長槍田松瑩氏 利益至上が会社滅ぼす(編集長インタビュー)」日経ビジネス2007年1月29日号
感銘を受けた記事。この社長はすごくいいことを言っている。100%定性評価でいいというのは新鮮だった
-
-
「平野幸久氏 空港も顧客満足追求(編集長インタビュー)」日経ビジネス2005年5月30日号
日経ビジネスは常に良質の記事を掲載しており外せない。デキる社会人は結構読んでいるとの実感。定期購読し
-
-
高安秀樹「幸運・不運(特集/「不確実性」の経済学入門)」週刊東洋経済2008.9.6
20081004060000 ここ1年くらい人まで話すことが増えた。結構、何の根拠もなく社会現象を
-
-
佐々木常夫『「捨てる仕事」を決める――出ない、会わない、読まない(ワークライフバランスを実現する仕事術)』週刊東洋経済2009.6.13
今日はone by oneで ・出なくて済む会議はできるだけ出ないようにしてきた。組織横断的会
-
-
井上裕「永守重信氏 企業買収で人を育てる(編集長インタビュー)」日経ビジネス2006年3月27日号
20060413014000 永守氏のインタビュー記事。ササッと読もうとして、やはり立ち止まってし
-
-
麻生祐司ほか「特集 団塊離婚と非婚ジュニア シングルライフの生涯収支」週刊ダイヤモンド2007/05/12
今週の週刊ダイヤモンドは確実に定価の数倍の価値がある。いつもと違う内容に、頬が緩みっぱなしだった。
-
-
鈴木棟一「国家公務員改革が閣議決定 政治と官僚の仁義なき戦い(新・永田町の暗闘)」週刊ダイヤモンド2008/04/19
すごい。官僚の主張を繰り返し繰り返し代弁する町村氏が4回。対する渡辺喜美は、この記事にも写真が出てい
-
-
佐藤優「筆者自身の効率的な時間の使い方(知の技法 出世の作法)」週刊東洋経済2009.10.17
20091031102203 確か、この連載で筆者が、適切な睡眠時間は人によって決まっているので、
-
-
井上裕「金川千尋氏 最後は経営力で勝つ(編集長インタビュー)」日経ビジネス2006年3月6日号
昨日の"宮東治彦・小笠原啓「成長の限界に挑んだ信越化学 金川千尋怒りの経営」日経ビジネス2006年3