江村林香「まずは小さな世界で1番になる」かんき出版

公開日: : 書評(書籍)

読んですんなりと納得できる内容。ということは著者のスタンスは私自信が周りから言われる程度にドライなのだと思う。しかし、こうでもしないとやっていられないだろう
著者のうらやましいところは、社長なので、会社の方針を任意に決定できるということ。彼女の基準で営業に不適格となった場合には営業以外の仕事に回される。そしてそういうことを公言できるのだから、その前提で入社した従業員には文句の言いようもない。場合によっては会社を辞めるよう促すこともするという
伝統的な営業社員や「私にしかできない仕事」に対する懐疑には快哉

p19.ランクを下げることによって、そこで一番になって自信を蓄え、その自信をエネルギーに変えてステップアップしていく。私のような高学歴でもない人間には、そういう生き方もあると言いたいのです
p21.考えに考えた末に、ハッとひらめいてA4のコピー用紙にこう書きました。「偏差値40以下の生徒さんのみにお教えします」これがとても当たりました。家の電話が鳴りっぱなしでした
p24.女子高生だった私が、なぜラーメン屋さんを選んだのか。だって、マクドナルドのような大きな組織でアルバイトしても、時給は決まっていて、それ以上はなかなか上げられないじゃないですか。それよりも小さな店でがんばって働いたほうが、時給を上げる工夫のしようがある。そうおもったからです。実際、そのラーメン屋さんに時給400円で入った私は、6年後に辞める時には時給1700円になっていました。何が言いたいかというと、特別に優秀な人でもなければ、大きなフィールドよりも小さなフィールドのほうが、自分の力をふるって、人に認めてもらいやすいということです
p31.達成できるかわからない目標を目指すのはダメ。大切なのは、「小さなことでいいから、必ず一番になれることを見つけて、実際になること」なんです。それも「明日」なっちゃうんです。これが大事です
p38.私は何につけ、わからないことは逐一それに詳しい人に聞くようにしています。一度聞いてもわからなければ、自分がわかるまで説明を要求します
p39.逆に、たとえよく知っている分野であっても、自分の趣味をビジネスにすることは、私はおすすめしません。同じ「好きなこと」でも、それが趣味となると話は違ってくるんです。趣味はあくまでも趣味だから、利益なんて視野の外になってしまいますよね。特に経営者が趣味を仕事にすると、利益が出ていなくても、趣味を趣味として楽しんでしまうんです
p42.ビジネスの基本は「まず顧客を見つけること」です。私は家庭教師のアルバイトをはじめる時も、まず「偏差値40以下の生徒さん」という顧客を見つけてからにしました。どのビジネスでも同じですが、これが一番大事。次に「インフラを作る」。この2つさえきちんと順番にできていれば、極端な話、あとは勝手にビジネスは回るものなのです。社長なんていらないくらい
p48.私には「石拾い」という趣味があります。「石」というのは、ビジネスのネタや、人のご縁のことです。仕事をしている時も、食事やお茶をしている時も、遊んでいる時も、新聞や雑誌を読んでいる時も、いつも「どこかにダイヤの原石が転がっていないか」「この人とはすごいご縁があるのではないか」と目を配っています
p51.おじさんは作業着姿で、真っ黒い顔をして一生懸命荷物を積んだあと、「お姉ちゃん、俺はいつかビッグになるんだよ。このガラクタを売って」と、成功するであろう自分の未来の話を延々と話し始めました。「何で私にそんな話をするんだろう? 落ち込んでいると思ってかしら?」などと考えながら、一方で「このおじさん、すごい人だな」と思って、すっかり最後まで聞き入っていました。この方は、後に中古の厨房機器販売の社長になり、その会社を上場させました。今でもたまに経営者の会で顔を合わせます
p55.物を仕入れる場合はどこよりも高品質で安い業者を選ぶし、やる気があってちゃんと仕事をする社員しか雇わないし、事務所の家賃とか光熱費をはじめとする事業の運営に必要なランニングコストは徹底的に安くあげるし。そのうえで、利益を見込んだ値段を設定するわけです。「お客様から利益を取るのではなく、経費を抑えて利益を出す」これが私の経営方針です
p56.総務や経理など他の間接部門のスタッフには、給与の高いベテランではなく、十数万円が相場の若い女性を採用しました。私自身、同じような年頃に、同じくらいの月収で経理も総務もすべてこなしていましたから、若い彼女たちで十分なんですよ。よく「経理は経験者でなくちゃ」などと言われますね。でもこれは迷信です。悲しいかな、そんなことはありません
p58.ハイヤー業界では、新車を入れるのが常識です。でも私は、それを疑問に思いました。だって、お客様は車が新しいか古いかではなく、料金と乗務員の資質でハイヤー会社を選ぶと考えたからです。で、調べてみたんですね。すると既存のハイヤー会社が使っていた中古車がたくさん「嫁入り先」もなく困っていることが判明したんですよ。燃料がLPGなので、お金を払って捨てているのです。「ならば私が買いましょう」ということで、新車で600万円ほどもするセドリックのロングという車種を20万円で購入しました。業界では「中古車に客がつくわけはない」と言われていたようですけど、何のことはない、初日からちゃんと稼働していました
p60.「物の本当の値段を知っているのは、世の中の半分の人だけだ」こう教えてくれたのは私の父です。で、後の半分の人を対象に商売をすれば儲かるし、おまえは後の半分の人に絶対なるなと言ってました。だから江村家では「値切る」なんて当たり前だったし、相見積もりを取らない人は人間失格くらいに言われました
p73.「営業の10カ条」:①黒か茶の革製の名刺入れに、名刺を30枚以上入れておく。②営業に必要な資料をクリアファイルにまとめておく。③前日の夕方までに、翌日の営業予定表を作る。④訪問予定先の地図を用意する。⑤9時に出かけて16時を門限とする。⑥目標件数を設定し、達成率を測る。⑦必ずお土産(契約or見込みアリ)を持って帰る。⑧1社につき3行以上の営業日報を書く。⑨自分の結果を成績表に記入する。⑩翌日の準備をする。毎日しっかりやるのは大変だと思います。でも、やると必ず成果が出ます。これまでの経験から言うと、初めて営業をする人には特に効果的です。営業初心者でも、すぐ注文を取ってこれます。逆に営業経験者はダメです。どれほど大変かがわかるから、やろうともしません。あるいは「意味がない」と言ってやらないんですよ。だから私は今でも基本的に営業経験者は採用しません
p76.実際にそのリストの訪問先すべてを回れなくてもいいのですが、まずはリストを作ることが大事なのです。弊社では、このルールを3回破ると営業を辞めてもらいます。これぐらいのことができない人、つまり自己管理のできない人には、営業という仕事は向いていないと思うからです
p79.人間は基本的に、6時間以上歩き続けることができないと思うからです。言い換えれば、6時間以上は自己管理をすることができないと思うんです。だから朝9時に営業に出て、夜の8時とか9時に帰ってくる人は、どこかに非効率とか無駄とかがあると私は思います
p92.仕事はあれこれ選ばすに「やったもん勝ち」です。特に若いうちは「仕事の食わず嫌い」をしちゃダメなんです。なるべく、いろいろな仕事を経験したほうがいい。じゃないと、なかなか「私はこの仕事が合う。この道のエキスパートになる」というのが見えてこないからです
p94.どの分野でもエキスパートと呼ばれるほどのスキルや知識が必要かと言えば、そんなことはありません。必要最低限のスキルや知識でOKなんです。具体的な業務は、専門家にお願いすればすむことですから。それより、スキルや知識以前に身につけておかなければいけないものがあります。それがウィル、つまり「やる気」です。日産自動車を再建させたカルロス・ゴーン氏も、こんなことを言っていました。「ニッサンにはスキルはあったけど、ウィルがなかった」
p97.世間一般の習慣に縛られて、自分がしたいことをガマンする必要なんてないんです。自分がしたいと思ったら、そのためにはどうすればいいかを考え、いろんな人と交渉するクセをつけましょう。あきらめるのは、それからでも遅くありません
p100.「私にしかできない仕事だから、他の人には手を出してほしくない」「人に頼むより自分でやったほうが速い。それに、ちゃんとやってくれないと結局はやり直すハメになるから時間の無駄」自分の仕事に自信を持つのは結構なことですが、それは本当にその人にしかできない仕事なのでしょうか。あるいは、仕事を一人で抱え込むことが効率的だと思っているのでしょうか。厳しい言い方をすると、そういう「仕事職人」さんは、単に「後輩に教える」という一番大事な仕事をさぼっているだけなんです。自分の仕事をすることで精一杯で、教えるところまで気が回らない、余裕のない人です。もしかしたら、自分以外の誰かが同じ仕事ができるようになると、自分のポジションが危うくなると心配している部分もあるかもしれません。自分に自信がないから、一人で仕事を抱え込んで、誰にも渡すまいとしているのではないでしょうか。もし「この仕事は私だけにしかできないから、もっと給料を上げてください」なんて言われようものなら、私ならもう「はあ?」ってかんじですね
p104.その会社の総務に行って「社長さんに会うには、どうすればいいんですか?」と尋ねてみるんです。ここでもネゴがモノをいいます。あと、講演会やシンポジウムに出かけて、直接お話しできる機会を待つという手もあります。私がまだうんと若かったころは、社長さんに会うために、その会社にアルバイトに行ったこともあります。たかがアルバイトの分際で、社長さんになんか会えるものかって思うでしょう? それが会えるのです。アイドルの追っかけも、テレビ局の前で待ち伏せしますよね。これと同じように、どこにいれば会えるかを計算して行動すれば、いずれチャンスが訪れるものなんです
p104.経営者というのは誰でも、人に会うことに積極的なんですから。こちらが想像しているほどイヤだとは思っていないものです。ただし、忙しいなか、貴重な時間を割いていただくわけですから、手ぶらで会いに行くのは失礼です。相手が興味を持ちそうな話題や情報を探して、それをお土産にして出向くのが礼儀というものです。このお土産が標的の社長さんにはまれば、必ず会ってもらえます
p107.単純作業は日々時間を計って、処理スピードを上げることです。とくにルーチンな仕事は昨日より今日、今日より明日と、時間を短縮化させることが可能です
p130.部下と一緒に多頻度で飲みに行かない。部下のプライベートに介入しない。部下の結婚式には出席しない
p134.過去に「社長についていきます!」とか張り切って入社していただいた方も多くいますが、そういう人に限って、3日で辞められたという経験が何度もあります。ハイテンションで極端なことを言う人ほど、その言葉とは正反対の「裏の気持ち」があるようなんです。「大好き」はすぐに「大嫌い」に変わります。そんな人よりも、いつもテンションがほぼ安定している人のほうが、外見も中身も一致していることが多いようですね
p140.人前で大声で部下を怒鳴りつける人には、それが年上の人であろうと、「怒る時は本人を呼び出して、本人だけに言ってください」と注意します。そして注意しても人前で怒鳴っているようだったら、会社を辞めてもらいます。実際、辞めてもらった方もいます
p151.パートのおばさんがいて、その人からこう教えてもらいました。「1つの仕事しかできない人はダメよ。一度に2つも3つも並行して作業をできるのが、人間の賢さってもんよ」「仕入れ先は1カ所じゃダメなの。慣れてくると、お互いに甘えるからね。常に最低3カ所の仕入れ先を持っていることが大切ね」
p190.仕事で私でなければいけないアポというのはほとんどありません。普段からスタッフに権限委譲をしているし、誰かに私の仕事を代行してもらえるシステムを作ってあるからです

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  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
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