P.F.ドラッカー「プロフェッショナルの原点」ダイヤモンド社

公開日: : 書評(書籍)

読んでからわかったけど、これってドラッカーの著作からの抜き書き集なんだな。準備のできないまま断片だけを読まされるというのはあまり得意ではない。しかし何とか読み進めた
というのもやっぱり、表現は平易であるし、断片ではあっても普遍の事象なので現実に参考になりそうな物言いが多い
多分、仕事をし、それも会社などの法人組織で仕事をしようというときに、日々経験している困難や悩みを端的な表現で整理していくれるのがこの本だ。例えば社会人でない学生が読んでもピンとこない。名だたる経営者がドラッカーを好むというのも、この点で道理だ

p1.組織に働く者のうち、知識に優れたものは少なくない。だが、彼らが報酬を得るのは知識によってではない。なされるべきことをなすことによってである
p3.成果をあげるには、次の5つの習慣を身につけることが必要である。①時間をマネジメントする。②貢献に焦点を合わせる。③強みを生かす。④重要なことに集中する。⑤効果的な意思決定を行う
p9.「自らを変えようとする必要はない。スタイルはすでにできあがっている。それが自らのやり方である。強みでないことをする必要はない。ノーと言うことを覚えなければならない。成果をあげるリーダーは、顧客のニーズと自らの強みをうまく結びつけている」
p9.「この100年で最も成果をあげたアメリカの大統領はハリー・トルーマンである。カリスマ性はかけらもなかった。面白味もなかった。しかし部下たちは心酔した。信頼できた。同じ問題について、誰かにノーと言い、誰かにイエスと言うことはなかった。過去100年に成果をあげた大統領はもう一人いた。ロナルド・レーガンである。彼の強みもカリスマ性ではなかった。できることとできないことを知っているだけのことだった」
p41.「もはや決まったことや言われたことだけを行うという時代に戻るわけにはいかない。特に知識労働者たるものは、なすべき貢献は何かを自らに問わなければならない。この問いに答えるのは3つの視点が必要となる。第一に、状況は何を求めているか。第二に、自らの強み、仕事の仕方、価値観からして自らのなすべき最大の貢献は何か。第三に、いかなる成果が必要かである」
p51.「人の育成にあたって最も有効な方法は先生役をしてもらうことである。教えることほど学べることはない。先生役を頼むことは最高の評価でもある。営業マンであれ赤十字のボランティアであれ、どうして成績がよいのか話してくださいと頼まれることほど、うれしいことはない」
p53.「ある大病院では、会計担当や技師さえも、年に1週間ほど看護師助手として働いている。2年に1度は仮名で入院している。医師が一人前になるには病気になれとは、昔からの箴言である」
p58.「知識はそれだけでは断片に過ぎず不毛である。アウトプットが他のアウトプットと統合されて成果となる。知識あるものは理解される責任がある。素人に対して理解するよう要求したり、専門家仲間に通じれば十分であるとすることは野蛮な傲慢さである」
p69.「多くの領域で卓越することはできない。しかし成功するには、多くの領域で並以上でなければならない。いくつかの領域で有能でなければならない。一つの領域で卓越しなければならない」
p77.「リンカーン大統領は、最高司令官の人選にあたって、グラント将軍の酒好きを参謀から注意されたとき、『銘柄がわかれば、他の将軍たちにも贈りなさい』と言ったという」「人のマネジメントとは人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや雑事を必要とする。人とは費用であり驚異である。しかし、人はこれらのことのゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは強みのゆえであり、能力のゆえである。組織の役目は、人の強みを成果に結びつけ、人の弱みを中和することにある」
p88.「組織は公平と公正を必要とする。さもなくば、優れた者は去り、あるいは意欲を失う。加えて、組織は多様性を必要とする。さもなくば、変革の能力を欠き、正しい決定を行う上で必要となる異なる見解を持つ能力を失う。異なる見解は、3つの理由から必要である。第一に、組織の囚人になることを防ぐからである。第二に、選択肢を与えるからである。第三に、想像力を刺激するからである」
p112.「地位の高い新参者には、まず何が期待されているかが明らかな仕事、少なくともそれを明らかにすることのできる仕事、しかも新しい不慣れな環境で問題に直面したとき手を貸せるような、確立された既知の仕事を割り当てるべきである」
p115.「これまで企業は、人の採用に多大の時間と金をかけてきた。しかしながら、採用の仕事は消極的な活動にすぎない。それは仕事に向かなさそうな者を排除するだけである」
p138.「成果をあげる者は自分自身であろうとする。他の誰かであろうとはしない。自らの仕事ぶりと成果を見て、自らのパターンを知ろうとする。他の者には難しいが自分には簡単にやれることは何かを考える。自らが得意であると知っていることを、自らが得意とする仕方で行うことによって成果をあげる」
p141.「仕事上の個性は、仕事に就くはるか前に形成されている。仕事の仕方は、強みや弱みと同じように与件である。修正はできても変更はできない。少なくとも簡単にはできない。そして、ちょうど強みを発揮できる仕事で成果があげられるように、人は得意な仕方で仕事の成果をあげる」
p143.「並以下の能力を向上させるために無駄な時間を使ってはならない。強みに集中して取り組むべきである。無能を並の水準にするには、一流を超一流にするよりもはるかに多くのエネルギーを必要とする。しかるに、あまりに多くの人たち、組織、そして学校の先生たちが、無能を並にすることに懸命になっている。資源にしても時間にしても、有能な者をスターにするために使わなければならない」
p146.「歴史上初めて、人が組織よりも長生きするようになった。そこでまったく新しい問題が生まれた。第2の人生をどうするかである。ほとんどの人にとって、同じ種類の仕事を40年も50年も続けるのは長すぎる。飽きてくる。面白くなくなる。惰性になる。耐えられなくなる」
p161.「何がなされるべきかについては、3つ以上のことを考えてはならない。3つのことを同時にできる者はいない。できるのは同時に1つか2つである。1つよりも2つのほうがよいかもしれない。単調にならずにすむ。その2つを片付けたら、次の2つを考える。前回第3位の候補だったものを自動的に繰り上げてはならない。その時には、もう古くなっている」
p163.「組織のトップとは組織の囚人である。出社すれば大勢の人がやってきて、何かを求める。ドアを閉めても無駄である。押し入ってくる。そのときは外へ出ることである。どこか秘密の場所が必要である。そこで一人で考えなければならない。何がなされるべきかを考える」
p187.「決定の実行を妨げるおそれのある者全員を決定前に責任を持って参加させなければならない。これは民主主義ではない。セールスマンシップである」
p203.「紀元前440年頃、ギリシャの彫刻家フェイディアスはアテネのパンテオンの庇に建つ彫像群を完成させた。それらは今日でも西洋最高の彫刻とされている。だが彫像の完成後、フェイディアスの請求に対しアテネの会計官は支払いを拒んだ。彫像の背中は見えない。誰にも見えない部分まで掘って、請求してくるとは何ごとか。それに対して、フェイディアスは答えた。そんなことはない。神々が見ている」

20080912060000

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