平秀信「『行列のできるスーパー工務店』の秘密」日本実業出版社

公開日: : 最終更新日:2011/09/20 書評(書籍)



実体験に基づく工務店の経営指南書。自分のビジネスモデルをこうもあからさまに書いてくれるのはありがたい。工務店を始めようとは思わないが、別のいろんなビジネスに共通するコツを教えてくれる良書


少し記載がゴチャゴチャしているかな、人のこと言えないけど。いろんな図や写真もあるし、著者の熱意ということで善解したい


工務店の目線で書かれているので、消費者から見るとちょっと勘弁してほしいような記載もある。しかし、あまり注文建築でこだわるのもどうかと思うけどね。なんだか時間の無駄のような気がするんですよ。転んでもただでは起きないと、本にしてしまうようなバイタリティがあればともかくとして。たとえば”藤原和博「建てどき」情報センター出版局”とか




p16.その当時、つくっていた家といえば完全に自由設計のものばかり。言い方を変えれば、やりたい放題の家。納まりなども懲りに懲り、1軒建築するのに施工図を数十枚も描くのが当たり前。「住宅は俺の作品」と豪語していた。今考えてみれば、それらはすべて自己満足の家だった。冷静になればわかる。こだわりを追求するあまり、利益はまったく出ていなかった


p26.お客様「お宅はいくらでできるの?」住宅会社「いやあ、細かい見積もりを出してみないと、なんとも言えませんねえ」お客様「家を建ててくれる会社は他にもある。よそに聞いてみよう」そうして、二度と戻ってはこない


p34.コストダウンできる家は、「自社で設計して施工する場合のみに限られる」。これを覚えておいてほしい


p48.チラシの内容が他社のものとはまったく違う。商品を売るのではなく、終始「お客様の不安を解消する」というスタンスを貫いているのだ。そして、自分がすべての仕事に携わり、全責任を持つ。そのことがチラシの細部にわたって伝えきれている。だから、お客様は安心して山本さんに仕事を頼むのである


p49.そして、高い成約率を実現している秘密がもうひとつ。徹底的にお客様を選んでいるのだ。価格さえ安ければいいと考えるお客様と冷やかし客には見積書を出さない。それどころか、会うこともしない。すべて電話の段階で切り捨てている。だから、成約率が極端に良くなる。作業効率もアップするので、利益率も高いのだ


p55.なぜ、社員を前面に出すと反応が上がるのだろうか? お客様は商品よりも人を見たいからである。その会社の社長、働く社員、現場の職人。決して「見たい」などとは口にしない。でも、見れば安心するのだ


p72.儲けている人間は、安い小さな広告で集めている。だから私でも、ゼロから10億円企業をつくり、利益を得ることができたのだ


p84.実をいうと、自分がしゃべる代わりに、手紙を出していたのだ。お客様に手紙を出せば、セールスしなくても売れる。どうして? 手紙の段階で説得が終わっているからである。会ったときにはOKの返事をもらうだけ。だから私にもできた。この手紙戦法を使い、こっそり儲けている人は山のようにいる。信じられないほど楽な営業方法なので、多くの人が実践し、そして秘密にしているのだ


p87.“ニュースレター”というものをお客様に届けるのだ。ニュースレターとは、どのようなものかといえば、あなたやスタッフの近況(ニュース)を書いた手紙である。だからニュースレターと呼んでいる。「そんなものをお客様が読むの?」そう思うだろう。ところがちゃんと読むのだ


p88.他人と親しくなりたければ、自分のことを打ち明けるのだ。自分のことを知ってもらえれば、相手は必ずこちらに興味を持つ。そして信用するようになる。この法則に間違いはない。自己満足でやっているわけでも、お客様のまわりでダンスを踊っているわけでもない。「お客様と親しくなれば売上が上がる」という、確固たるマーケティング理論に則ってニュースレターを出しているのだ


p95.「お客様は、工事そのものにお金を払っているのではない。工事をして得られるメリットにお金を出している」


p97.83%の人が、お客様を断っている会社を選ぶのである。このメカニズムは、理屈ではなく、人間の心理がそうさせるのである。だから、こちらがお客様を切るというスタンスに立っている限り、多くのお客様から信頼を得ることができるようになるのだ


p109.お客様は、私たちに住宅価格を尋ねるとき、必ず「坪単価いくらでできますか?」と聞く。そのときは、「はい、坪単価30万円です」と答えなければならない。これは理屈ではない。お客様の質問にはズバリ答える。それでこそ、信用が得られるのだ


p115.儲かっていない工務店の中には、自分のこだわりで設計する人が必ずいる。お客様が望まないのに自分のつくりたい家をつくろうとするのは、一般的に建築に精通している現場監督兼設計者もしくは研究熱心な設計担当者に多い。自分の力を試したい、新しい納まりに挑戦したい、という心がけは重要だ。しかし、経営が苦しい今やらなくてもいいではないか


p119.部材の種類が限定できると、価格も下がる。なぜかというと、納入業者の見積もり、発注の作業が極端に減るからだ。実は、今まで価格が下がらなかった原因の多くは人件費にある。見積もりや発注作業はお金を生まない。お金を生まない作業をできるだけ少なくしてあげれば、納入単価は下がるのである


p122.あなたが今つくっている家を規格化、標準化するだけで、コストは削減できるということ。今までは、「規格化」という言葉に抵抗を感じ、前に進むことができなかっただけなのだ


p151.「え、自分の顔写真をチラシに出すの?」そう。専務でも常務でもダメ。小さな工務店は社長がすべて。社長自身が、自分の理念を語り、訴える。これを理念型セールス法といい、小さな工務店の必修科目である


p161.だれを信じたらいいのかわからなくなったお客様は、どのような行動をとるのか? 「普通はどうなの?」「みんなはどんな家を建てるの?」など、家づくりの一般的な基準を知りたくなるものなのだ。そこで、“今すぐ客”を獲得するには、家づくりに対する基準を示すというのが最も大きなポイントになる。そしてお客様の悩みを解決してあげる。霧がかかった頭の中をすっきりさせてあげる。お客様は、そのような会社と契約する


p168.お客様は、住宅業界の仕組みに怒っている。それを忘れないでほしい。あなたが、チラシ上で絶対にやらなければならないことは、業界に闘いを挑み、業界の悪習を叩き潰すことなのだ


p169.もし、業界の常識を破り、価格破壊に挑戦するなら、屋号をつけたほうがいい。なんといってもお客様が、あなたの会社を「公的な機関」と位置付けてくれる


p171.「営業部長」「営業課長」では、お客様に対して「営業に行きますよ」と言っているようなものだ。そこで、エルハウスでは名刺の肩書きをこう変えた。「プランニングサポーター」「双子の父」…


p180.お客様が望むタイミングで情報提供できる営業マンは、天使である。お客様が必要としないタイミングで売り込む営業マンは、害虫である


p216.「おかげさまで、建築いただいた方には、本当に満足していただいています。ありがたいことです。ときにはお叱りを受けることもありますが、こうしていただく生の声が、僕らの力になります。実際に建築した方の声ですから、参考になるところもあるかもしれません。どうぞご覧ください」


p222.そんなとき、「POP(看板)」は役に立つ。これを見れば、当社と他社の建てる家の基本的情報を、じっくり納得のいくまで知ることができる。しかもだれにも急かされることなくゆっくりと見てまわることもできるのだ


p230.お客様に心を開いてもらうためにはどうすればいいか。お勧めしたいのがこれだ。「私は・・・・ですが、○○さんはどう思われますか?」あの松下幸之助氏は、人を育てるときによくこのような訪ね方をしたそうだ。どういうことかおわかりか? そう、まず自分の意見を言う。そして、相手の意見を聞くのだ


p249.廣田社長:以前、某ローコスト系フランチャイズと隣同士で建築したことがあったんですが、引渡式のとき、当社の金額を知って隣の奥さんが泣き出してしまったという事件がありました。はっきりいって、高く売っている業者には本当に腹が立ちます。そんな業者からお客様を守るために、もっともっと安くていい家をつくっていきたい




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