大前研一「私はこうして発想する」文藝春秋

公開日: : 最終更新日:2013/04/06 書評(書籍), 大前研一



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先日、古い本(hiog: 大前研一「遊ぶ奴ほどよくデキる!」小学館)を読み返した連想で、これも古くなった本が、取り出して読んでみる。一言でいうと、BBTの宣伝なのね。あと、サウスウエストとかCNNとか、どこかで聞いたような話も多い。しかし、そこは日本人向けに日本語で書かれている。日本人がすべきことが書いてあるような気がする。時代背景に依拠する記述も多く今読むと少しノスタルジアだけど、本質は陳腐化していない




p40.私は、お金で解決できることならお金を使えばいいと思うのです。たとえば中国が東シナ海で採掘しているガス田ですが、採りたいのなら採らせればいい。日本はお金があるのだから、危険な海底ガス田でわざわざ苦労して掘る必要はない。中国に掘ってもらって、出てきたガスを買い取ればいい。どうせ国際相場で買えるのですから。日本が世界に誇れる経済成長をした理由は、そうやって国土にとらわれず。経済を中心に国造りをしてきたからなのです


p91.日本ではまだほとんど気づいている人はいませんが、マイクロソフトの次世代家庭用ゲーム機「Xbox360」は恐るべき機械です。単なる高性能ゲーム機だと思ったら大間違いです。「家庭において、いかに放送とITの融和を起こしてゆくか」とい7う明確な戦略と哲学が詰め込まれているのです


p107.私のマッキンゼー時代の仲間だったデヴィッド・ハーツという人は、終戦当時、戦艦ミズーリ号に乗って日本に進駐した経験を持っていましたが、彼に思い出話を聞いたことがあります。彼らは「日本人は世界で最も獰猛な国民である。死を恐れず戦い、捕虜になるよりは死を選ぶ」と教えられてきました。いまのアルカイダのようなイメージです。そして上陸前には、「上陸したら必ず編隊を組んで道を歩け。後ろを向いて歩く人間を置き、警戒を怠るな」というブリーフィングを受けて東京に入った。ところがいざ上陸してみたら、獰猛そうな人はどこにもいない。みんな「ウェルカム」と言ってニコニコしている。その後、駐留している間、女性は寄ってくるし、子供たちはチューインガムやチョコレートをねだりに来る。男たちにしても、獰猛で復讐心に燃えた闘士というような人はいなかった。ハーツ氏は東京で、現在のイラクのような組織的なレジスタンスとかゲリラ的な戦闘というものを、ただの一度も見なかったのです。ハーツ氏はよく私に言ったものです。「ケンイチ、説明しろ。何が起こったんだ? あの、ニューギニアで死ぬまで獰猛に戦い続けた日本人は、どこへ行ってしまったんだ?」ハーツ氏はユダヤ人なのです。二千年間の怨念を抱えて生きる彼らから見たら、日本人のこの豹変ぶりは到底信じられない。「日本人というのは、いったいどういう人種なんだ?」となるわけです。私にはよくわかる。日本人というのは、そうと決まったら過去のことはケロッと忘れ、「鬼畜米英」から「米英礼賛」へと24時間で変わってしまえる民族なのです。日本人は、戦後も、10年くらい毎に価値観をコロコロ変えてきました


p122.中国市場抜きで21世紀の日本を語れないのは自明のことです。にもかかわらず「日本食レストランに投石されたから、中国市場から撤退しよう」なんて企業人が言っているのを聞くと、「なんという根性なしだ。アメリカで戦った歴史を忘れたのか」と天を仰ぎたくなります。「中国ではルールがころころ変わる。とても法治国家とはいえない」などという愚痴も聞かれますが、ルールの違いという点でも日本はアメリカで何百倍も苦労しました。特許訴訟からセクハラ訴訟に至るまで、日本企業を狙い撃ちした裁判は枚挙に暇がありません。日立と三菱電機はIBM産業スパイ事件で完敗しましたし、半導体集積回路に関するキルビー特許では、日本企業が支払った特許料の総額は数千億円にも及びます。アメリカの弁護士が一番儲けたのは、日本企業関係の係争ではないでしょうか


p124.日本企業は常に、会社の一番優秀な人材をアメリカに送り込んできました。経営者も然り。ソニーの盛田昭夫さんの渡米は生涯で400回に及びました。日米交渉が荒れたとき、政治家が頼りないからと、盛田さん1人でアメリカ政府の要人と面会し、決して流暢とはいえない英語で頑張っておられたものです。その歴史を今、教訓としているか。盛田さんがアメリカで見せたように必死の思いで中国市場に挑んでいこうという日本の経営者が今、どれほどいるのか私には疑問です


p148.「むしろ今のままにしておいて、金正日政権が倒れたら、統一しないまま北を生産基地として使わせてもらう方がいい」「独立国で、言葉が通じて、賃金は中国の半分で、場所はわが国の裏庭。これ以上よい生産基地があるでしょうか」いわば韓国の”経済植民地”としての北朝鮮というわけです


p177.議論で「とりあえず『それは違うんじゃないか』と言ってみる」とわざと反対意見を言う人を「デビルズ・アドボケイト」(悪魔の使徒)といいますが、「違うんじゃないか」と言うと、言った方も言われた方も、より深く考えざるを得ない。要するに合意してしまったらそこで議論が止まってしまうから、あえて合意しないで、自分は必ずしもそう思っていなくとも、とにかく一度違う意見を言ってみる


p184.デルをわずか十数年で世界一のパソコンメーカーに育てたマイケル・デルは、ビジネススクール時代、卒業論文に今のデル・コンピュータのビジネスモデルを書きました。そうしたら、その成績はABCのうちの「C」だったそうです。なぜ評価が低かったか、その当時、マイケル・ポーター(ハーバード・ビジネススクール教授)の「バリュー・チェーン」という、経営学の一連のセオリー、フレームワークがあったのに、デルはそれを無視した新しいビジネスのフレームを作った。そうすると指導教官から「あるべきフレームワークから外れている。そんなビジネスモデルは使い物にならない」と評価されてしまったのです。しかしデルはそれにめげず、論文に書いたとおりのことを自分で実行し、大成功しました







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