山田昌弘「若者の希望を潰す新卒偏重の採用 (The compass)」週刊東洋経済2009.1.24
学者や言論人というのは、自分の言うことを決して変更しない、そしてそれが常に正しいように努力するので、すごく辛いんだろう、と思っていた。昔
女性の社会進出とか、いわゆる一般職や派遣とか、ニートや引き籠もりとかは、その時代がなした構造的なものとしか思えなかったりする
内定取り消しするような企業なら、入社後に苦労することが予想できるのである。それでも内定取り消しが大問題になり、取り消された高校生や大学生の途方に暮れる様子が悲しさを誘うのは、日本社会に根付いている「新卒一括採用システム」にある。卒業と同時に入社するのが当然という意識が、内定取り消し問題を深刻なものとしているのだ。新卒一括採用システムは、卒業年次の景気によって、就職がしやすくなったり、しにくかったりという弊害がある。好景気では、ちょっとこれはと思う学生でも何社も内定をもらい、不景気では優秀な学生でもなかなか就職が決まらない。私は新卒一括採用システムは、学生の運・不運以上に、日本経済に悪影響を及ぼし始めていると考えている。これも10年ほど前、希望企業から内定がなかなかもらえない学生がいた。当時は、名だたる大企業の倒産、廃業が相次ぎ、成果主義賃金の導入や雇用制度改革が叫ばれ、終身雇用・年功序列システムはいずれ終焉すると言われていた。私も、これからは実力主義になり人材も流動化すると言うと、すかさずその学生から「本当にそんな時代が来るんですか。実力主義の時代が来ると信じて、条件の悪い企業に行って、結局何も変わらずに損をしたらどうしてくれるんですか」と言われ、返す言葉がなかった。外から制度を批判したり、次にこのような時代が来るよと予想することは簡単である。しかし、学生は自分の人生がかかっている。将来制度が変わるかもという期待に人生を賭けるわけにはいかない。そのとき以来、私はリスクを取れと学生に言わなくなった。そして現実は、学生の言ったとおりになったのである
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