山口正人・豊田圭一「自分がいなくてもまわるチームをつくろう!」明日香出版社
20090601013127
だいたい、こういうテーマの本は読むようにしている。新しい発見はほとんどなかったりするが、それでも事例紹介などで使えるものを一つ見つけただけでも、読んだ価値はあったと思う
本著で紹介されている著者の開設するサイトで、著者の言うマニュアルの例を見た。かなり細部にわたるものであり、事例として参考になった
上席の仕事とは何か、ということを教えてくれる。いつまでもハンズオンでフロントエンドのビジネスをすることでは決してない。そしてプレイヤーとして優秀だった人が、コーチや監督としても優秀であるとは限らない
p12.どんなポジションで働いているにしろ、あなたの仕事は量ではなく質で評価されるはずです。たとえ、アルバイトや派遣社員のように時給換算で給料が得られるケースであっても、多くの場合、企業は「時間」ではなく「仕事の成果」への対価として給料を支払っているのではないでしょうか
p13.特にポジションがあがればあがるほど、その傾向は強くなってきます。んまぜなら、チームリーダーのような上に立つ人は、チーム(会社、事業部、部、課など)をまとめることで仕事の成果を出すという役割があり、自分ひとりの働きだけで評価されるわけではないからです
p14.マーケットが評価しているのは、企業がそのモノやサービスをつくるのに費やした時間に対してですか?そうではないですよね。マーケットが評価しているのは、あくまでそのモノやサービスを購入することで得られる価値に対してです
p20.「名選手、名監督にあらず」という言葉があるように、名監督(=リーダー)が必ずしも優れた選手である必要はありません。むしろ、野球やサッカーなどのプロスポーツチームの実績を見てみると、確率的には優れた選手でなかった人の方が名監督になっていると言えるかもしれません。ビジネスにおける組織(チーム)のリーダーもそれと同じで、自身がプレーヤーとして優れているというよりも、リーダーとしてのチームの力を最大限発揮させることが重要になってきます。極論を言ってしまえば、チームの力が最大限発揮できるのであれば、自分自身は何もしなくたっていいのです
p31.創造的破壊を繰り返し、組織が常に発展していくように行動することこそ、リーダーの役割ではないでしょうか。だって、リーダー以外のメンバーは自らが自らの仕事を壊すようなことはなかなかしませんから
p33.リーダーが集中するべきことは、なるべく早い段階で仕組みを作り、自分がいなくても事業がまわるようにすることだと思います。このことは、決して自分が楽になるためという意味ではなく、リーダーにはリーダーの役割があるだろうということです
p44.リーダー自身が残業をしないように意識することが大切な理由として、チームのメンバーにとっては、リーダーが残業をしているのに自分が先には帰りづらいということも上げられます。それに、リーダー自身が残業するような状況は一時的にはいいかもしれませんが、それが慢性化しているようであれば、仕事や組織のしくみそのものを見直す必要があるのではないでしょうか
p48.マニュアル化するのは、まさに「頭を使わずに業務をこなすため」と言えます。自分の頭で考えないといけない仕事もたくさんあれば、作業的なものもたくさんあるわけです。そして、それらの仕事は頭を使わずに効率的にこなす方が成果が得られることもあります
p49.会社としての仕事の進め方が確立されているのに、それを新しくは言ってきた社員が継承せずに、彼らが自分なりの工夫で仕事をやるというのでは、効率が悪いばかりか成果にもばらつきが出てきてしまいます。企業はチームとして最短距離で成果を出す必要があり、そのためにマニュアル化をすることが最も効率的なのです。マニュアルがあることで、最も効率の高い仕事の進め方ができるとすれば、それを活用しない理由がありません
p50.マニュアル化することのメリットをまとめてみると、次のようなものになります。・業務の流れが明確になり、誰でもその把握が可能になる。・業務をやる人が変わっても、同じクオリティーが保証される。・ムダな作業の発見や削除に繋がる。・教育時間の短縮およびトレーニング労力の軽減が図れる
p55.ブレストや雑談のようなミーティングの中から新しいアイデアが出てくることだってあります。その場合、例えばオフィスから外に出てカフェなどでお茶をしながらやってもいいでしょうし、そういう目的の飲み会をやってもいいかもしれません
p64.世の中には他人に仕事を任せられない人がいます。人に任せて仕事のクオリティーが落ちるのが嫌なのか、あるいは自分でやらないと気が済まないのかわかりませんが、仕事の出来る人でこの傾向を持っている人は、とてももったいないと思います。なぜなら、仕事の出来る人こそ、任せられることはなるべく任せて、もっと違う分野で能力を発揮する方がチームにとっても有効だからです。だから、任せることができるなら、全部任せるべきです
p117.「この仕事をしてください」と言われても、いったいどの位の時間で、どの位の量をこなさなければいけないのか、この仕事の目的は何なのか、誰と一緒に仕事をするのか、何かあった時には誰に相談すればよいのか、その仕事の優先順位はどうなっているのか等々、具体的な指示がなければ仕事というものは適切に進めることが出来ません
p126.マニュアルはそこに書いてることしか考えないような、柔軟性に欠けた人間を作り出すという結論に結びつけられてしまうようです。確かにマニュアルは完全なものではありません。しかし、それはどんな良い薬でも副作用のない薬はないことに似ています。そして、マニュアルはこの種の副作用を補ってあまりあるだけの効力もあるのです
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