マーク・ピーターセン「日本人の英語」岩波新書

公開日: : 最終更新日:2013/01/13 書評(書籍), 文章術/レトリック



20090930220827








久しぶりに岩波新書を読んだ。古い本


不定冠詞のaとそれにつけられたglassという名詞、というのが目から鱗。また、乗り物に乗るときのonとinの違い、など興味深い説明が多い




p13.ちゃんとした意味を持っていたのは、”a second glass of the old Madeira”のglassではなく、そのaである。そして、glassという名詞の意味は不定冠詞のaに「つけられた」ことによって決まってくる。あるいは、これは文脈にもよるが、”a glass”に対して、たとえば、定冠詞の”the glass”は「例の一杯」という意味に、定冠詞の”glass”は「硝子」という意味になることもある


p16.本当は、aという言葉で意味的カテゴリーをたててから、それに適切な名詞を探していって、結局manに決めるのが英語の思考プロセスであるので、英語の「冠詞用法」を理解するためには、manにaをつけるという類の考え方は役に立たないであろう。むしろ、その理解を妨げる可能性が強いような気がする


p29.翻訳するとき、名詞の使い方の問題だけに限れば、英語から日本語に行くより、日本語から英語に行く方がよほど難しいような気がする


「『ない』は『何もない』という意味ではないか、『ゼロ』ではないか、『なさ』には度合いがあるか、『なさすぎる』なんて、どうしても私に納得できないことである。英語は決してそういう非論理的な言い方を許さない」


p45.冷蔵庫というものは、どの家庭にでもあるというふうに意識されるが、電子レンジはまだそこまで普及していない。her microwaveのherの単なる所有関係に対して、the freezerのtheは、the freezer that is the expected pert of any homeという意味を与える


p53.このセンテンスのtheの意味的カテゴリーに入っているbeginningやheaven、earthも、語り手と聞き手の間の相互理解では、3つともそれぞれ「一つしかないもの」であるので、それ以上限定するまでもなく、3つともそのままtheのカテゴリーに入ってもよいのである


p70.これは乗る人と乗り物の運転との意識の上での距離の問題である。例えば、airplane、ship、busなどの場合、乗る人は一人の乗客にすぎず、乗り物の運転に特に何の影響も及ぼさず、ただ貨物のように「運ばれている」感じが強い。それに反して、car、taxt、private、aircraftなどに乗せてもらう場合、自分とその運転との距離は意識の上で全然違うものである。単に「運ばれる」のではない。乗り物の運転と自分との間につながりがいくらか感じられるために、これらに乗っている状態はonではなく、”in”となる


p73.outというのは三次元関係を表し、動詞に「立体感のあるものの中から外へ」という意味を与える。それに対して、offというのは二次元関係を表し、動詞に「あるものの表面から離れて」という意味を与えるわけである


p81.come over (to my house)は単なる(come to my house)よりずいぶん柔らかい、リラックスした、インフォーマルでフレンドリーな印象を与える。come aroundもまさにそうであるがcome overのやや「一直線」的な感じに対して、come aroundでは、いくらか「回ってくる」ような、「ついでによる」ような気持ちが入っているので、謙遜な雰囲気がわずかに出てくるのである


p100.どうして英語と日本語との間にこういう違いが出てくるかというと、いつも「時」のことばかり気にする英語の特徴に対して、日本語は、「時」事態に関して特に気にせず、いつも「相」(aspect)のことばかり気にするからである。それは簡単にいいかえれば、英語にとっては行動と状態の時(the timing fo the action or condition)がもっとも大事であるが、日本語にとっては行動と状態の完了の程度(the degree of completion of the action or condition)がもっとも大事なのである


p114.By the time I got to Phoenix, she had cried for two hours straight. She has cried for two hours altogether.







google adsense

関連記事

no image

D・カーネギー「人を動かす」創元社

内容は極めて平易。しかし主に米国におけるエピソードを多く引いてくることにより、文章の面白味を増し、説

記事を読む

no image

門倉貴史「出世はヨイショが9割」朝日新書

20071228060000 正直、この本には後悔している。自分の信頼するある書店にて平積

記事を読む

no image

山田修「あなたの会社が買われる日」PHP研究所

なんか、実際に読んでみて、タイトルとは全然違う内容に驚いた。M&Aのことが書いてあるわけではない。会

記事を読む

no image

山崎元「新入社員に贈るマネー生活の基本的な心得(マネー経済の歩き方)」週刊ダイヤモンド2006/04/22

この人は、社会的なプレゼンスをどんどん高めているように思う。今週の本誌では中心人物だ。特集の「あとで

記事を読む

no image

中山真敬「たった3秒のパソコン術」三笠書房知的生きかた文庫

20090226215800 ときどき、こういうのを虚心坦懐に眺めてみるのもいい。パソコン

記事を読む

no image

小池和男『日本産業社会の「神話」』日本経済新聞出版社

そのタイトルのとおり、日本の産業社会における「神話」が紹介されている。ここでいう神話は、「根拠もなく

記事を読む

no image

今井雅人「外国為替トレード勝利の方程式 投資を極める!本当は教えたくないプロのノウハウ」日本実業出版社

20050905224400 程よくまとまっている外国為替取引のノウハウ本。難しそうな取引

記事を読む

no image

伊藤裕「腸!いい話 病気にならない腸の鍛え方」朝日新書

20120520091752 腸おもしろい 腸がどれだけ大事かってことが書いてある。腸で栄養吸収

記事を読む

no image

橘玲「マネーロンダリング入門」幻冬舎新書

この本は、すごいタイムリー。北朝鮮の核実験や銀行資産の凍結の件、村上や堀江の件、グラミン銀行の件、す

記事を読む

no image

向谷匡史「人はカネで9割動く 成功者だけが知っている「生き金」のつかい方」ダイヤモンド社

とある信頼する書店で平積みになっていた本。最近、こういうエゲツナイ本ばかり読んでいる気がするが、面白

記事を読む

google adsense

google adsense

pay整理とKyashへの収束

20181209101111 ソフトバンク系と楽天系のポイントが

楽天ペイのアプリとローソン

20181208145713 Rakuten PayがPayPa

銀行の口座振替(引落し)設定の解除

20181207112040 とある事情で、とある業者への支払い

Pixel3の購入と現状の整理

20181120110248 Pixel初代とPixel2が日本

ドコモ「dアカウント」と「ポイント共有グループ」の整理

20181106112305 ドコモに3回線MNPの顛末(2

→もっと見る

  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
  • あわせて読みたい
  • にほんブログ村 本ブログへ
PAGE TOP ↑