ピーター・D・シフほか「なぜ政府は信頼できないのか」東洋経済新報社

公開日: : 最終更新日:2011/09/10 書評(書籍)



序章で、すべてが語られている。父親の恨み。父親の寓話を現在まで引き延ばし、少し先まで物語を進めて終わる



寓話のかたちではあるが、こどもが読むには難しすぎる。最初は3人だけだったのが、途中から急に飛躍するし



最初に魚採りをしていた人が、最後にどうなるのか、ベタベタな気はするけど



原題はHow An Economy Grows And How It Crashes。全然違う邦題





p1.2007年に世界経済が過去3世紀で最大の破滅に突入するまで、悲劇が差し迫っていることに気づいていた経済専門家はいないも同然だった



p3.大恐慌という経済の修羅場において、ケインジアンはある決定的な優位性を持った。それは痛みのない解決法を提供するものであったために、政治家たちから諸手を挙げて迎え入れられたのだ。増税や財政削減なしに雇用を増大させ、成長を加速させることを約束するケインジアン政策は、言ってみれば、食事制限も運動もしないで痩せられますよと約束するミラクル痩身プログラムと同じだった。非合理的と言うほかないが、それでもそんな希望は不安を和らげてくれるし、選挙公約においては切り札になる。ケインジアンは、貨幣局の輪転機を回せば国民の生活水準を上げられるという道化を政府に演じさせる。このようにケインジアンは、もともと政府とウマが合うので、オーストリア学派よりもはるかに政府の要職に就きやすい。そしてもちろん蔵相や財務長官を輩出する大学には箔がつくので、ケインジアンの教授は引っ張りだこになる。こうしてオーストリア学派の研究者は、ますます冷や飯を食わされるようになっていった。同じように、やはり経済専門家の大口雇用主である大手金融機関も、ケインジアン的教義を偏愛するようになった。大手銀行や投資銀行などは、ケインジアンがもたらす金融緩和と緩い貸付環境のほうがずっと儲かる。投資促進策を優遇する考えは、疑い深い投資家に財布のひもを緩めさせる。そのため、これらの金融機関も、競ってケインジアンを雇い入れるようになった



p5.私の父、アーウィン・シフは名士となり、また連邦所得税に対する反対運動の旗手とされるようになった。彼は35年以上にわたって、しばしば強迫観念的なほどにIRS(国税庁)の課税に反対を唱え、また所得税の導入は憲法に定められた3つの課税条項、第16修正条項、そして内国税法そのものに違反していると主張しつづけた。彼はこの話題について多くの本を書き、連邦政府を相手に堂々と行政訴訟で渡り合った。こうした活動のため、彼は手ひどい個人的な代償を支払うことになった。齢82歳にして、いまも連邦刑務所に収監されているのだ



p9.この本は、経済専門家が実体経済とは縁もゆかりもなさそうな念仏を唱えはじめると眠くなってしようがないという人に、ぜひ読んでもらいたい。本書ではまた、ケインジアンが提唱する経済モデル――本質的に無価値な不換紙幣であっても経済の潤滑油になるのだから、政府は後顧の憂いなく財政支出を増やせばいいという考え――はまやかしであり、危険であることを示したい



p42.こうした衝動の核となるのは、貯蓄者自身よりも政府のほうが何が社会にとって良いかをよく知っている、という考えです。ですが、そんな考えが正しいことを示す証拠はどこにもありません。実際、歴史を振り返れば、政府系シンクタンクで生まれて途方もない大失敗に終わった計画はいくらでもあります



p88.米国史の前半を通じてはおおむね、水道のような投資計画は多くの場合、民間が担っていたものです。こうした計画はもともと思わぬリスクを含んでいますから、今日では営利企業がこうした計画の資金調達をし、建設し、運営することは、ほとんど考えられなくなっています。ですが、昔は民間がやっていたのです。たとえばニューヨーク市の地下鉄は、おおむね民間企業によって建設され、40年ほどの間、ほぼ市当局の手を離れて運営されていました。建設コストは膨大な額でしたが、それでもちゃんと利益を出していたのです。さらに、運賃は40年の間、一度も値上げされませんでした今日では、大規模な公共事業――下水道、高速道路、運河、橋など、すべての人々の役に立つと思われるもの――は公営でなければならないと有権者を説得するのは、ごく簡単です。政治家は、民間企業にそんな仕事を任せておいたら、隙を見るや否や公衆から搾取を始めるに違いないと、人々にうまく信じ込ませてしまったのです。こうした主張はおおむね、客観的な証拠のない感情的なものです。それよりもほぼ確実に言えることは、政府が公共プロジェクトやサービスを独占すると、必ずと言っていいほど非効率で腐敗してしまうことです。公共プロジェクトの費用が膨れ上がったりサービスが非効率になったりしても、自由競争の原則は働きません。政府は単純に、それを増税で埋め合わせるだけです。そうすることによって、社会の資源を無駄にし、生活水準を落としてしまうのです



p90.貿易障壁によって守られる産業は、わかりやすいものです。しかしそれで不利益を被っている産業は、はるかにわかりにくいのです





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