佐藤優「日本を危機から救う国際エリートの育成(第225回知の技法出世の作法)」週刊東洋経済2011.12.17

公開日: : 最終更新日:2012/03/10 書評(雑誌), 有罪判決, 週刊東洋経済, 佐藤優



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ほんと、この人の多作と教養には感服する。いつも目を見開きながら楽しみに読むシリーズのコラムだ


お説のとおりにTPPで学歴社会になるかどうかはわからない。しかし学歴社会が昔よりも浸透している、特に、どこの大学のどこの学部かという横比較だけでなく、むしろ、学士か修士か、Ph.D.かということが重要になってきていることを実感する


自分は、幸い修士まで持つことができたが、実は、これまでと違う分野で、あわよくば何らかの手段でもう少し上の学位が欲しくて堪らなかったりする。やっぱりPh.D.って素直に羨ましい。大体、ちょっとした文献でも大体、このクラス未満によるものは見かけないし。あくまで日経の経済教室のイメージだけど


その理由についても同意する。学問を進めるほどに、調べ方、理屈の作り方、まとめ方、動き方、その他、周辺のさまざまな知識を身につけられ、その専門分野に打った楔を利用して横への展開もできる


国境を越えての学問であればなおさら。社会制度の違いを肌で感じ、高等な学問が実は名ほどのものではない、実際の同級生が自分に比べて実は大したことないと知って度胸をつけるだけでも海外への留学はすべき


こういう学歴により知識を端的に示せると、発言に揚力が発生する。自分はメインとされる分野以外にも、保育士試験を経ての保育士資格と宅建を持っている。いずれも近ごろカネの臭いがするからという、非常に野卑な動機によるものではあるが、それでもその分野で一通りの知識を持つ前提で自由な発言ができる、と妙な自信を持っている。私の好きな法然のタイプの仕事ができるということだ。一見乱暴なことを言っているようだが、一通り勉強してきている人間が言うのだから一理あるのだろうと


そして、これも筆者の言うとおり、それまでの学究分野と異なる仕事をすることの醍醐味。ずっと井の中の蛙ではつまらない。あえて別の分野でそれなりの成績を出すことの爽快感


会社が履歴の浅い社員の育成にコストをかける余裕がなくなったということも同感。そういう社員は長期雇用における将来の勤務で、その恩返しをするような前提で就職していなかったりする




・これまでの「入学歴社会」と異なる本格的な学歴社会が初めて日本に到来する。エリートコースを目指す20代のがっついたビジネスパーソンには、最低限、修士号を取得する計画を立てておくことを勧める。すでに国際社会においては、日本の一流大学を卒業しても、学士号しか持っていなければ、エリートのサークルに加わることができない。筆者は、たまたま神学の修士号を持っていた


・修士号や博士号を持っていても、その研究テーマに関連した職業につく人は、研究職以外では一部だ。諸外国の外交官や政府高官でも、文学や歴史学など、現在の職業と関係のない修士号、博士号を持っている人がいる。それではなぜ、仕事に直結するわけでもないのに、国際基準の実務においてこれらの学位が評価されるのか。それは、学位を取得する過程で体得する知識と経験に、官僚やビジネスパーソンとして指導的地位に立つ人に不可欠なノウハウが含まれているからだ


・従来、日本で官庁や大企業の幹部になるために修士号や博士号が必要とされなかったことには、それなりの理由があった。官庁や大企業は、大学教育をまったく信用していない。能力がある大学卒業生を採用し、ビジネスパーソンとして役に立つ訓練をするという方式を取っていた。その結果、総合職や専門職で採用された人ならば、20代後半では修士号に、幹部になったときは博士号に相当する実力があると、国内外で認知されていた。それがもはや通用しなくなっている


・それには2つの理由がある。第一に、時間をかけて社員を教育する余裕が大企業になくなった。第二に、諸外国と比較して、日本の大学は現実の社会から極度に遊離した独自の知的文化を発展させたため、大学での勉強がビジネスでの有効性をほとんど持たなくなった


・TPPに日本が参加すると、これまで日本で通用した大学入試試験の偏差値を基準とする入学歴社会が、数年で通用しなくなると筆者は見ている




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