渾沌「資産運用産業の時代への備え(大機小機)」日経2012/2/29

公開日: : 書評(新聞)



20120328000736


「公正な価格形成の阻害など公益を害する行為にプロ向けもアマ向けもない。」というが、AIJの事件は「公正な価格形成の阻害」と関係があるのか? 報道のかぎり、運用者と委託者との関係の話のようにしか思えない。本日の衆議院財務金融委員会への参考人としての当事者の発言を聞いていても、あくまで運用で失敗したというストーリーで押し通している


また出た、一事件をもって制度全体を変えようとする極端な考え方。善解しても、本件の裏に同様の事例が多く隠れているという立法事実を知っているとでもいうのか? それでガチャガチャと作り込まれた制度で得をするのは誰か? さらには公募投信にまで話が敷衍されてしまうのには恐れ入る。


混沌氏についてのネット上の言及の主なものは次のとおり。




日経新聞のコラムは事前に査読したほうがいい: もっともっとシンプルでいい


歪んだ銀行行政を正論でバッサリ切る“混沌”は元エリート銀行員?


4月29日付、日経大機小機「ライブドア事件を風化させるな」を細かく検証する|Investment Nuggets




著者は、公募投信への規制を検討している注視する当局者か?




大機小機  資産運用産業の時代への備え


企業年金の資産約2千億円の大半が消失した問題で、金融庁は投資会社のAIJ投資顧問に業務停止を命令した。AIJは租税回避地に登記した私募投信への投資を通じた高い運用実績をうたい文句に年金資金の運用を受託していた。運用難に苦しむ投資家から運用能力を評価される一方、不自然な運用成績を疑う声も少なくなかったといわれる。


運用の失敗か、流用などの不正があったのかは当局の調べを待たねばならないが、運用成績を偽っていたなら詐欺行為であり、地域金融機関の資金量にも匹敵する資産の行方が分からないこと自体異常である。信託銀行など管理会社が異常に気づかなかったのか、素朴な疑問も残る。中小企業中心の顧客の年金基金は資産の穴埋めを迫られる。


リーマン・ショック後の米国では、ナスダック・ストック・マーケット元会長が運営する投資会社の巨額証券詐欺事件や、ゴールドマン・サックス元会長率いる投資会社の顧客資産流用疑惑などのスキャンダルが相次いでいる。


共通項は機関投資家などプロ投資家向けの私募投信を運用する投資会社が引き起こした問題である点だ。一般投資家(アマ)相手の公募投信に比べて規制が緩く、当局の監視が行き届かないから実態の把握にも時間がかかる。プロ投資家は金融機関や投資会社と対等に渡り合えるので保護より自由な取引を優先する理屈だが、公正な価格形成の阻害など公益を害する行為にプロ向けもアマ向けもない。


金融危機の震源、米国は金融界の抵抗を受けながら、金融機関の自己勘定取引の制限や規制機関の見直しに動いている。1930年代の銀行法(銀行・証券分離)、証券法(情報開示)、証券取引所法(不正禁止)をなぞるものといえる。米国は大恐慌の反省を踏まえ1940年投資会社法で公募投信の規制を導入したが、今度は金融機関と並ぶ資産運用産業の主役に成長したヘッジファンドなど私募投信への規制が課題になる。


村上ファンド事件に続くAIJ問題を機に、日本も独自の判断を求められよう。会社型投信が主流の米国では、独立取締役による企業統治の源流が投資会社法にあったことを思えば、情報開示、監督強化に加え、投資会社の企業統治に工夫があってよい。受託責任を強化して資産運用産業の時代に備えるために、私募投信を含む投資会社への規制を見直す時だ。


(渾沌)


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