新井美江子ほか「特集 新・ニッポンの接待」週刊ダイヤモンド2012/6/23

公開日: : 書評(雑誌), 週刊ダイヤモンド



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今週は非常におもしろい特集


確かヨーロッパのほうでは民間同士の賄賂という概念があったように記憶してるが、日本では民間同士の接待それ自体に問題がないはず。それでもなお、激しい接待は、それを受けるほうに背任の論点があるのではないかと思う。その辺に意識を向かわせる。接待するほうはその従犯か


そもそも、接待って、するのも、されるのも、それほど楽しくない、なんて思う人も多いのではないかと思うけど。この特集では、出だしは問題提起らしい文章になっているが、最後のほうには、おすすめの接待の店とか、効果的な接待の方法とか、そんな現状肯定というか好意的なトーンで終わっているのが、ぎこちない


ここで引用したのは、現在の話だけ。過去はもっとすごかったとか。現在は規制が行われているとか、そういう話なら、もっとある。MRとか、銀行とか


やっぱり大きい会社は、この辺の予算の絶対額が大きい。しかり売上高のわりには相対的にはすごく少ないんだという三菱商事のケースがおもしろい




・重い鉄製の扉を開けると、薄暗い店内で数人の男女がグラス片手に談笑していた。ここは東京・六本木5丁目界隈にある雑居ビルに入る会員制バー。機関投資家の運用担当者と大手証券の女性社員たちがソファでくつろいでいる。隠れ家での秘密接待といったところだろうか。その接待に参加していた女性の1人は「あれくらいの接待はよくあること」と鼻で笑った。彼女が「あれくらい」と言ったのは、巨額増資のインサイダー取引疑惑をめぐって、証券界のガリバー、野村證券の営業担当者が手を染めた過剰接待のことだ。6月8日、この営業担当者が取引先である銀行のファンドマネジャーに対して、1年弱で39回の接待、さらにテレビやバッグなど32万円相当を贈答していた事実が明らかとなった。営業担当者は増資に関わるインサイダー情報まで漏らしながら、過剰接待を繰り返していたとみられる


・ある日の夕方、三菱商事の執行役員は、東京・銀座にある老舗バーでこの日の接待相手を出迎えた。30分ほど食前酒を飲んでバーを後にした彼らが向かった先は、歩いてすぐの中央通り近くの雑居ビルに入る超高級鉄板焼きの店だ。カウンターでは仕立てのよいスーツに身を包んだ銀座紳士たちが雑談している。執行役員は顔なじみなのか、彼らに軽く会釈をして席に着いた。前菜はキャビア、その後も伊勢エビ、和牛などの高級食材が次々と運ばれてくる。仏ボルドーの名門シャトーの赤ワインなども躊躇なく開けていく。会計は3人で10万円を優に超えていた。バブル期かと勘違いしてしまいそうな、怖いもの知らずの接待だが、この執行役員にとっては、今もこれが日常なのである


・「大手ゼネコンの社員が銀座で接待をしている姿はいまだによく見かける」と、バブル絶頂期から銀座のクラブで働いてきたベテランホステスは話す。交際費カットで銀座の高級クラブから足が遠のいた社用族は多い。一方で一部業界では、今も接待重視の営業が展開されていることがうかがい知れる結果となった


・1999年に制定された国家公務員倫理法によって、国家公務員は利害関係者から供応接待を受けることを原則禁じられている。ただし1万円以内の自腹であれば、今も利害関係者との飲食は事前の届け出がなくとも可能ではある。ただ、公務員給与がカットされつつある昨今、しかも自腹とあって民間企業との会食もすっかり鳴りを潜めたかと思いきや、「今でも誘うと応じる」(業界関係者)と評判なのが経産省なのだ。この他、特に「エネルギーや資源を担当する経産官僚が、商社や投資銀行から頻繁に接待されている」(経産省関係者)という。政策の意思決定に必要な意見交換ならば大いに結構だが、民間同士の接待が1次会にとどまるこのご時世に、「深夜2時までどんちゃん騒ぎして、タクシー券で帰宅する」(関係者)のだからあきれる他ない。費用がどこから捻出されているかもはっきりさせるべきだ




製薬、旅行、広告代理店など、典型的な業界について、その動向を個別に1ページずつ紹介していくのもおもしろい。その中で、「金融」ってのがあるのに、それと独立して「外資系金融機関」が取り上げられているのが、気が利いている




・メガバンク首脳をして「接待のスケールが違う」と言わしめる外資系金融機関。彼らが休日に接待する場所はゴルフ場ではない。なんと「プライベートジェットでアラスカに飛び、サケ釣りを楽しんでもらう」というから凄まじい


・投資銀行には、大別すればお金がない企業の資金調達をサポートする部門(IB)と、お金がある機関投資家の運用を扱うマーケット部門(CM)の二つがある。このうちIBは昨今の資金調達減で、使える交際費も大きく減少。だが、こと外資に限れば「1人当たり3万円は優に使える」(米系投資銀行マン)。中には最近、上場企業役員を中国・マカオに連れていき、「100人の美女を並べて調達案件を獲得した」と逸話を披露する米系投資銀行マンもいる。さらに激しい夜の接待を行うのがCM。特に地方銀行を相手に不良債権処理のアドバイスまで行う部署では、“アマゾネス軍団”と呼ばれる美人社員たちが、ホステスのようなミニスカートで営業、しかも現物から先物まで1人で機動的な提案を行うというから、日系が「全く敵わない」(銀行系証券幹部)はずである




最後に、トヨタと日産のケース。こういうふうに自前で持ってしまうのは、他者が同じことができないという面白さがある




・ここは東京都・紀尾井町の一見、何の変哲もないオフィスビル。その上層階に、世界中から来る要人や政府関係者をもてなすトヨタ自動車の迎賓館がある。宿泊部屋のほか、100人単位が入る宴会場や、掘りごたつをしつらえた和風の会席場などを完備する。招待されたことのある客によると、「有名料亭から引き抜かれた板前、銀座の高級クラブ出身で着物が似合う美人接客員に心のこもったもてなしを受けた」という


・カルロス・ゴーン・日産自動車CEOの肝いりの接待場といえば、神奈川県・三浦半島にある佐島マリーナだ。ゴーンCEOは就任来、数々のリストラを敢行したが、「湘南の奥座敷」と呼ばれるこの老舗リゾートは、たってのお気に入りでつぶさず、きれいに改装したのは有名な話だ。「晴れた日には富士山を見渡しながら要人とトローリングを楽しむ」とは事情通の談




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