津田大介「情報の呼吸法」朝日出版社
公開日:
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書評(書籍)
20120912234428
今回は水色だ。前回は黄緑色(グリーンズ編「ソーシャルデザイン ―― 社会をつくるグッドアイデア集」朝日出版社)。いずれも装丁を見ずに、たまたま手に取ることになっている。これ、電車の中で読んでいるとバレバレなのでなんとかならないかな
情報を出さないと入ってこない。大胆に意見を変える。自分を情報化される。なるほどねと
p040.ほどなくして「音楽配信メモ」は人気サイトになりました。1年ほど経ってもっとも頻繁に記事を更新した頃には、アマゾンのアソシエイトやグーグルのアドセンスで月10万円くらいの収入がありました。「これを本気でやればウェブだけで結構食えるようになるな」と思ったのですが、結局そこで飽きてしまった。単行本を書き始めたりして忙しくなったということもありますが、「なるほど。いつでもここに帰ってこれるから、いいや」と思ってしまったような気がします
p090.ちなみに相当ひどいことを言われても、僕はまったくへこみません。自分の意見や意図はどうしたって誤解されてしまうものなので、仕方がないと思って気にしないことにしています。強烈なアンチになって僕に噛みついてくるような人を生み出した、またそういう表現をしたということは、世界にはそれと同じかそれ以上に僕のことを好きになってくれる人が生まれていると思うんですよ
p095.入手した情報を自分で打ち返すだけでなく、打ち返してくれそうな人に投げるというのもひとつの手です。情報に対する反射神経をやみくもに鍛えても意味はありません。重要なのは情報と人との「組み合わせ」を考えるということです。こういう情報はあの人に届けると面白くなるのでは、という「自分が情報のつなぎ役になるのだ」という意識があればいいと思うのです。興味を惹く情報があっても自分では処理しきれない場合は往々にしてあります。ならば、「この人だったら検証して広げてくれるかも」と思った専門的知識がある人に「こんなニュースがありますよ」と伝えてみることで、相手からフォローされたり、そのニュースを起点とした議論が多くのユーザーを巻き込んで広がっていったりするのです
p118.要はコンテンツとファンクラブです。その2つの要素がうまく回っていくときにメルマガは定期的な収入源になります。ツイッターやフェイスブックでは著者をフォローすることくらいでしか支持を表明できなかったのが、有料メルマガになると活動している人間に対して「有料購読」というかたちで直接支援することが可能になるわけです
p142.自分の知らない情報を貧欲に摂取するうちに考えが変わることもあります。矛盾するようですが、自分の考え方が180度変わることを恐れない柔軟性を持つことも重要です。それも情報とうまく付き合うための秘訣です。いろいろな人と話しているうちに僕も原発推進派に変わるかもしれない。あらゆることの過渡期であるこれからの時代は、「転換」を恐れないマインドが重要です。軸は持ちつつ、優れた考え方を自分の中に迅速に取り入れられる柔軟性が今求められているのだと思います。2005年に「CDがうざい。早く捨てたい」と発言していた坂本龍一さんが、2008年には「CDが完全に消えるとは思わない。人間には、触ることのできるものを持っておきたい欲望がある。ぼくもネット経由で大量にダウンロードする一方、手元に残したい曲はレコードやCDで買う」(『朝日新聞』2008年12月のインタビュー)と、一見正反対に見えることを言っているのも注目に値します。それには坂本さんなりの理由があるのでしょう。最近の事例では、原発推進派だった西尾幹二さんが原発事故を受けて脱原発派に転向しました(『産経新聞』2011年3月30日付コラム「正論」)。80歳近くになってこうした態度を取れるのは本当にすごいことだと思います
p156.「情報発信をしないことにはリターンがない」。この前、岩手の陸前高田市に取材に行ったときに(2011年10月)米崎小学校仮設住宅の佐藤一男会長が言った言葉がずっと頭の中に残っています。情報発信をすることではじめて、外部からの注目を得ることができる。そこで連帯が生まれ、リターンの可能性も生まれる
p164.「なるほど。話を聞いて分かったのは、ソーシャルメディアというのは正直者がバカを見ない世界なんじゃないかな」
p164.等身大の自分を「情報化」し、有用な情報とともにソーシャルメディア上に置くことで、意志を共有できる人と自然につながり、現実を少しずつ動かしていくことができる。ソーシャルメディア上では真正直に、愚直に行動することが分かりやすく可視化されます。いわば、行動を起こす人の人間性が情報化され、共有されているのです
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