佐藤優「うまくやれとの指示にどう応えるか(知の技法 出世の作法 第246回)」週刊東洋経済2012.05.26
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上司が「うまくやれ」とわざわざ曖昧に指示しているのに、記録とともに明確に対応する部下というのも、なかなか味わい深い構図。ここで意を汲みすぎて曖昧なまま物事を進めると、都合が悪くなったときに切られてしまう
・大使館幹部が国会議員に対するいかがわしい接待に関し、「断れ」でなく「うまくやれ」と指示する背景には、国会議員に関するネガティブな情報を蓄積し、省益のために生かすという外務省の組織文化があるのだ。外務省はこうしたネガティブ情報の蓄積を、国会議員だけでなく、記者や学者に対しても行っている。海外で日本大使館員にアテンドされる際は、弱みを握られないよう細心の注意を払わなければならない
・外務省以外の官庁や民間企業でも「うまくやれ」と指示されることがある。中間管理職が「うまくやれとおっしゃいますが、具体的にどうすればよいのですか」と聞き直すと、上司は「こいつは勘の鈍いやつだ」とマイナスの評価につながってしまう。「部下を選ぶことはできるが、上司を選ぶことはできない」というのが、中間管理職にとっての与件なのだ。上司も筋の悪い案件とわかっているので、「うまくやれ」というあいまいな指示をするのである。筆者が中間管理職ならば、「よくわかりました。ところで部長(課長)、どれくらいうまくやればいいでしょうか。多少無理をしてもいいでしょうか」と尋ねる。上司が「無理しなくてもいい」と答えるなら、上司もそれほど成果を期待していないということだ。上司自身がさらに上から言われた無理難題を、下に降ろしているだけかもしれない。上司が「つべこべ言わず言われたことはやれ」という対応なら、これは何としても処理し、少なくとも何らかの成果が出たという体裁を取らなくてはならないということだ。中間管理職に拒否するという選択肢はない。成功しても失敗しても、面倒に巻き込まれる可能性がある。こういう場合に重要なのは、自分と部下を守る現実的方策を見いだすことだ。「うまくやれ」というような指示は口頭でなされる。この際、記録を残しておくのが身を守ることにつながる。上司に対してメールかメモによる中間報告という体裁で、「先刻の『うまくやれ』という事案についてですが、部下に以下の指示を具体的に行い、処理しています」という報告をしておくことだ
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