コリン・ジョイス『「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国』NHK出版新書

公開日: : 書評(書籍)



20130213002054








こういう諸外国の各国物もたまにはいい。やっぱりロンドンオリンピックがあったからだろうか。あの開会式の産業革命のところとかは印象深い。そんな日の沈まない大英帝国のイメージに憧れる


そんななので、サッチャーの映画映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」hiog | hiogも観てしまったし、英国王のスピーチも、なんでまだ見てないのか不思議なくらい


変なところで気になるのは、最近のキャサリン妃の懐妊の際の看護師の自殺とか含め、感覚としてイギリスってすごく陰険なイメージがあって、もっとよく知ってみたいと思って、この本を手に取ったのだけど。そんなことはあまり書いてなかった


お茶の話とか、賃貸住宅が恥ずかしい話とか、意外なところが面白かった。エッセー集のような構成であり、全体を通しての主張のようなものがない、どこから読み始めてもいいような本だった。内容の濃さとしては価格並み




p15.上流階級は、社交の場では普段話さない相手とできるだけ話さないといけないと考える。上流階級のディナーパーティーの席順は、女性と男性が必ず交互に座り、夫婦が隣り合わせにならないよう最新の注意が払われる。


p18.労働者階級の人たちは「h」の音を発音しないことが多い。たとえば「ハット(hat 帽子)」が「アット」になる。でも労働者階級はそれに気づき、 「h」音を落とさないよう注意するよになってきた。逆に「h」音を落とすようになったのが、育ちの悪いふりをしたがる中流階級の人たちだ。いちばん確実なのは、「h」という文字を声に出して読んでもらうことだ。不思議なのだが、 「h」だけは先ほどの例とは逆になる。労働者階級は「h」音を自然に入れて「ヘイチ」というふうに発音し、教育を受けている層は「エイチ」と言う


p32.イギリスが嫌われて当然の国でも、ユニオン・ジャックはあちこちに見られる。こんなにも人気がある理由のひとつは、 3色を使うなら、赤、白、青の組み合わせが最高だとイギリス人がいち早く気づいたことにある


p33.歴史を振り返っても、ユニオン・ジャックはいたるところに顔を出している。 1994年までは南アフリカ国旗にも小さく使われていた。アメリカでは独立宣言のあとに、ユニオン・ジャックを左上にあしらった旗が使われた。アメリカの大陸軍はこの旗の下に行進した。戦争の目的はイギリスからの独立だったのだから、これは驚くべきことだ。ユニオン・ジャックの人気は、イギリスに対する感情より、むしろグラフィックデザインの一作品として優れていることが関係しているように思う


p38. 1966年のワールドカップでイングランドが優勝したときに、ファンがユニオン・ジャックを振っていたことはよく指摘される。優勝したのはあくまで「イングランド」だったのに。最近のサッカーの大会では、誰もがセント・ジョージ・クロスを振るようになった(2005年版と2008年版のイングランド代表のユニフォームにも使えわれている) 。今のイングランドでは、アパートの窓やパブなど、いたるところにセント・ジョージ・クロスが掲げられている


p43.ある年齢から、イギリスでは賃貸住まいがどこか恥ずかしいこととされるようになる。賃貸の家に住んでいるのは、女性とまともに付き合ったことがないようなものだ。20代なら構わないが、 30代だとまわりの目が気になりはじめる。さらに悲惨なのは親と同居している人たちなのだが、 30代の男女や若いカップルは住宅資金を貯めるため親元に引っ越すようになっている


p56.実は揚げチョコバーはどこにでも売ってるわけではなかったのだが、メディアが健康によくないという話を書き立てたことで、逆に増えていったようだ。スコットランド人は説教されるのが嫌いだ。特にイングランド人に説教されるのは大嫌いだから、揚げチョコバーという罪深い発明に対して、ゆがんだ誇りを持ちはじめているのかもしれない


p62.王室が外国から来たという事実が、結構多くのイギリス人が気に入っている。この国には移民とその子孫がとても多い(ぼくの家も調べたかぎりでは、まったくのアイルランド系だ) 。 「王室は外国生まれ」という事実は「世界のほかの場所から来てもイギリス人になれる」という考え方を支えてくれる


p73.アメリカ人ではない人が明らかにアメリカなまりの英語を話したり、アメリカ英語で教育を受けたとわかる表現(例えば「awesome=すごい」 「mom=母親」 「way to go=よくやった」 )を使ってるの耳にすると、僕は愉快な気持ちがしない


p82.イギリスの池などにいる白鳥は女王のものである。 「ビッグ・ベン」というのは時計でも時計塔でもなく、塔の中にある鐘のことをいう。英語はイギリスの主要言語だが、土着の言語としては他にウェールズ語もスコットランド語もアイルランド語も使われている。しかも昔はコーンウォール語もマン島語もあった


p114.お茶は人間関係の「接着剤」のようなものだ。家族の体調がすぐれないとき、思いやりを表す最良の方法は「お茶を入れようか」と声をかけることだ(そう言ったあとで「他に欲しいものは?」と言ってもいい)。誰かに嫌な出来事が起こったら、まず座らせて気持ちを落ち着かせ、それからお茶を持ってくるものだ。イギリスには「tea and sympathy (お茶と思いやり) 」という決まり文句もある。このフレーズに「 tea 」という言葉はやはり欠かせない


p122.お茶は「人を生き返らせるが、酔わせることがない飲み物」なのだ


p204.パブリック・フットパスはすばらしい。イギリスが本当に誇れるもののひとつだと思う。イギリスの田園地帯には、地主に邪魔されずに歩くことのできるフットパス(人道)が縦横無尽に走っている。これは古くに確立された権利で、広い土地の地主はいかに自分の土地であっても、好き勝手に塀で囲い込むことができない。僕たちイギリス人(したがってイギリスを訪れる人たちは) 、車や道路が生まれる前に農村部の人々が歩いた道を歩く権利であるということなのだ







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