日本科学者会議「地震と津波」」本の泉社
公開日:
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書評(書籍)
20140916183550
p4.水深6千メートルを超える大洋底の細長い凹所を海溝、海溝ほど急でない細長い盆状の地形をトラフという。
p51.津波は常に水深の浅い方へ向きを変えることになります。この性質は、後でみるように海岸近くでの波の高さに関係してくるので重要です。
p74.特に断層の真上にある浜岡原発が、超巨大地震に耐えきれるとは思えません。寺田寅彦は、文明が進むほど災害の規模は累進的に増加することを警告しています。このことは心に刻むべきでしょう。
p104.仙台平野などでは全体として津波遡上高は低いが、遡上距離は数キロに及ぶ。
p105.何キロも津波が遡上する低平な平野部でない限り、一般に遡上高は津波の高さとほぼ同じか高い
p111.予測研究を担うべき理学研究者は、わかったことだけを声高にアピールする癖があります。対策を検討する工学研究者は、災害の大きさに関する予測結果が検討の出発点であるため、曖昧さを好まない傾向があります。また、防災啓発をする行政等は、情報をシンプルにして対策をマニュアル化することが大事であると主張します。それぞれがこのような従来型のスタンスでは、「予測の不確実性」に関する情報が抜け落ちやすく多くの想定外を生んでしまいます。
p152.「百年一度の津波」に対しては、三陸地方には標高10m、東海・西日本に対しては高さ7mの防潮堤を居住地域の海岸に構築すれば、市街地への浸水は防ぎきることができるでしょう。現実的な土木工事として、まず実現可能です。しかし、今次の東北沖地震、あるいは西日本に対しては宝永地震(1707)のような「700年、あるいは1000年(以下ミレニアム津波とよびます)一度の連動型超巨大地震の津波」に対しては、このような防潮堤では、居住地域内への海水の浸入は防ぎきれません。このようなミレニアム津波による大津波に対しては、「家はあきらめるが、命だけは助かるように」と考えざるを得ないでしょう。そこで、津波避難施設の確保、あるいは建設です。その高さは標高15mかそれ以上でないと、意味をなさないでしょう。
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